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中編4
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電話

 皆様こんばんわ。

 まずは、筆を置くと言った舌の根も乾かぬうちに、再度投稿することをお許し下さい。

 前回に続き恐怖を抱くような話ではありませんが、無線〜親父さんを経た、完全な後日談となる為に、報告がてら投稿することにいたしました。

 では、本日までにあった出来事を語らせていただこうかと思います。しばしお付き合いいただければ幸いです。

 始めます。

 あれは、親父さんの告別式から半月くらいたった頃だったと思う。

 着信履歴が無い為おおよそではあるが、知らない番号から個人携帯に電話がかかってきていた。

 これが会社携帯ならば、素直に出ていたのだが、個人携帯の場合、知らない番号には出ない主義の私は、いつものように無視することにした。

 そうしたことによる影響は何もなく、私宛に会社にかかって来ることもなかった為に

(チッ!やっぱり間違い電話だよ…迷惑極まりねぇ。)

 等と思い、そんな事があった事をすっかり忘れていたのだが、また知らない番号から電話がかかってきたのは、それから3日後くらいだったと記憶している。

 同じ番号かどうかは確認してないから分からなかったのだが、やはりいつものように無視することにした。

 その後も二回くらいかかってきたが、ことごとく無視し続けた。

 そして今日。

 ブブブブブブ…

 携帯が着信を知らせる。

 そこで初めて。と言うわけでもないが

(なんかおかしくねぇか?)

 と、思った。

 それは当然の感覚だと思う。

 このご時世、何度も何度も携帯からの間違い電話等あるだろうか?

 そう[電話帳]だ。

 この場合考えられるのは…

1.知り合いが番号を変えた。

2.誰かが間違えて登録している。

3.単なる偶然。

 1の場合、個人携帯を知っている人であればメールアドレスもしっているし、3は確率的にはかなり低い。

 つまり、可能性としては2が強い。

 (こりゃ、一回言っとかなきゃなぁ…)

 と決意し、電話に出る。

 ブブブブブブ…カチ

 「あ?やっと繋がった!もしもし」

 その声に唖然とした。

 「Nさん!!」

 「ッ〜つ!声デケェよ。ん、まぁ、その調子じゃ元気みたいだな。」

 「そりゃ、こっちが聞きてぇよ!あんた、あの声…じゃなくて、大丈夫なんか?つか、あれ?」

 と、まぁ、こんな感じで混乱した様な感じだったと記憶している。

 「あぁ、俺な、死のうとしたみたい。」

 「は?」

 「声がな…毎晩[こっち来い…お前もこっち来い…]って誘うんだ。んで、家の車持ち出して、そっから意識が無い。」

 私は、即座にあの叫び声を思い出した。

 [こっち来い…お前もこっち来い…]等は聞かなかったが、あの叫び声だけでも恐ろしかったのは記憶に新しい。

 「でな、真っ直ぐな道で事故ったらしいんだけど、気がついたら1年経ってた。」

 「呼ばれた?って事?」

 「かもしんね。でも、最近ご覧の通り起き出したんだよな。で、まぁ、起きてから声がしねえのよ。」

 …まさか…とは思ったが、考えはそこにしか至らなかった。

 「なぁ…あんたが起きたのって、1月18日じゃね?」

 「そうそう!よく分かったな!で、起きる時にさ、Mさんが[バカヤロゥ!何時まで寝てやがんだ!]…って、え?」

 私が日にちを当てた事で、Nさんも何かに気がついたみたいだった。

 「Mさん、亡くなったんだ。1月15日に。18日は告別式だったんだよ。」

 「まさか…笑えない冗談とかいらねぇよ…」

 「あんたも気づいたんだろ?俺は、あの日あの人の[心配いらねぇよ…]って声を聞いた。それかは俺は声が聞こえなくなったんだ。」

 それでNさんも納得してしまったのか、沈黙してしまったが、

 「声って…やっぱりな…だから最初にお前に連絡取りたかった。ずっとお前の事が引っ掛かってた。」

 「あぁ、聞こえてた。もっとも、こっちは叫び声だけだったけど。それも親父さんが連れていってくれたみたいだし。」

 「そうか…じゃああの声も…なだよ…最後まで親父さんの世話になりっぱなしかよ…」

 Nさんは電話の向こうで泣いていた。

 私も涙が止まらなかった。

 その後も少し話したのだが、リハビリしている事、リハビリが終わればこっちにまた出てくるつもりである事、再雇用システムを使おうと考えている事等を話した。

 彼が、もし帰ってくるのならば、いや、こちらに帰って来ないにしても、仲間の復活を心より祝福すると共に、あの親父さんの背中を思い出しつつ、今度こそ筆を納める事にしたい。

乱文、長文にお付き合いいただきありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 鉄道員さん  

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