皆様こんばんわ。
まずは、筆を置くと言った舌の根も乾かぬうちに、再度投稿することをお許し下さい。
前回に続き恐怖を抱くような話ではありませんが、無線〜親父さんを経た、完全な後日談となる為に、報告がてら投稿することにいたしました。
では、本日までにあった出来事を語らせていただこうかと思います。しばしお付き合いいただければ幸いです。
始めます。
あれは、親父さんの告別式から半月くらいたった頃だったと思う。
着信履歴が無い為おおよそではあるが、知らない番号から個人携帯に電話がかかってきていた。
これが会社携帯ならば、素直に出ていたのだが、個人携帯の場合、知らない番号には出ない主義の私は、いつものように無視することにした。
そうしたことによる影響は何もなく、私宛に会社にかかって来ることもなかった為に
(チッ!やっぱり間違い電話だよ…迷惑極まりねぇ。)
等と思い、そんな事があった事をすっかり忘れていたのだが、また知らない番号から電話がかかってきたのは、それから3日後くらいだったと記憶している。
同じ番号かどうかは確認してないから分からなかったのだが、やはりいつものように無視することにした。
その後も二回くらいかかってきたが、ことごとく無視し続けた。
そして今日。
ブブブブブブ…
携帯が着信を知らせる。
そこで初めて。と言うわけでもないが
(なんかおかしくねぇか?)
と、思った。
それは当然の感覚だと思う。
このご時世、何度も何度も携帯からの間違い電話等あるだろうか?
そう[電話帳]だ。
この場合考えられるのは…
1.知り合いが番号を変えた。
2.誰かが間違えて登録している。
3.単なる偶然。
1の場合、個人携帯を知っている人であればメールアドレスもしっているし、3は確率的にはかなり低い。
つまり、可能性としては2が強い。
(こりゃ、一回言っとかなきゃなぁ…)
と決意し、電話に出る。
ブブブブブブ…カチ
「あ?やっと繋がった!もしもし」
その声に唖然とした。
「Nさん!!」
「ッ〜つ!声デケェよ。ん、まぁ、その調子じゃ元気みたいだな。」
「そりゃ、こっちが聞きてぇよ!あんた、あの声…じゃなくて、大丈夫なんか?つか、あれ?」
と、まぁ、こんな感じで混乱した様な感じだったと記憶している。
「あぁ、俺な、死のうとしたみたい。」
「は?」
「声がな…毎晩[こっち来い…お前もこっち来い…]って誘うんだ。んで、家の車持ち出して、そっから意識が無い。」
私は、即座にあの叫び声を思い出した。
[こっち来い…お前もこっち来い…]等は聞かなかったが、あの叫び声だけでも恐ろしかったのは記憶に新しい。
「でな、真っ直ぐな道で事故ったらしいんだけど、気がついたら1年経ってた。」
「呼ばれた?って事?」
「かもしんね。でも、最近ご覧の通り起き出したんだよな。で、まぁ、起きてから声がしねえのよ。」
…まさか…とは思ったが、考えはそこにしか至らなかった。
「なぁ…あんたが起きたのって、1月18日じゃね?」
「そうそう!よく分かったな!で、起きる時にさ、Mさんが[バカヤロゥ!何時まで寝てやがんだ!]…って、え?」
私が日にちを当てた事で、Nさんも何かに気がついたみたいだった。
「Mさん、亡くなったんだ。1月15日に。18日は告別式だったんだよ。」
「まさか…笑えない冗談とかいらねぇよ…」
「あんたも気づいたんだろ?俺は、あの日あの人の[心配いらねぇよ…]って声を聞いた。それかは俺は声が聞こえなくなったんだ。」
それでNさんも納得してしまったのか、沈黙してしまったが、
「声って…やっぱりな…だから最初にお前に連絡取りたかった。ずっとお前の事が引っ掛かってた。」
「あぁ、聞こえてた。もっとも、こっちは叫び声だけだったけど。それも親父さんが連れていってくれたみたいだし。」
「そうか…じゃああの声も…なだよ…最後まで親父さんの世話になりっぱなしかよ…」
Nさんは電話の向こうで泣いていた。
私も涙が止まらなかった。
その後も少し話したのだが、リハビリしている事、リハビリが終わればこっちにまた出てくるつもりである事、再雇用システムを使おうと考えている事等を話した。
彼が、もし帰ってくるのならば、いや、こちらに帰って来ないにしても、仲間の復活を心より祝福すると共に、あの親父さんの背中を思い出しつつ、今度こそ筆を納める事にしたい。
乱文、長文にお付き合いいただきありがとうございました。
怖い話投稿:ホラーテラー 鉄道員さん
作者怖話