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短編2
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必勝のお守り

高校の頃の話。

私と同じクラスだったOは、勝負運のめっぽう強い奴だった。

それほど頭が良い訳でも計算高い訳でもないのだが、ここぞという時に引きが強いのだ。

例えば、何か罰ゲームを賭けてじゃんけんなどすれば負け知らずだった。

じゃんけんに限らずトランプやクジ引きなどあらゆる賭けにめっぽう強く、クラスの男子には一目置かれていた程だった。

私も何度かOとポーカーなどで勝負をしたが、一度も勝てなかった。

ある日、いつものようにポーカーで負けた時「どうしてそんなに強いのか」と、Oに聞いてみた。

するとOはポケットの中から何かを取り出し、私にこっそり見せてくれた。

それは古い木で出来た、将棋の駒に似た形をした物だった。

何かじわじわと湧きだしてくるようなものが感じられ、見るからに不思議な物だった。

何でもそれは先祖代々から伝わるもので、祖父から譲り受けたらしい。

Oはそれを必勝のお守りなどと呼んでいた。

…そんなある日のこと。

Oは学校から帰る途中、交通事故に遭った。

よそ見をしながら信号を無視してきた乗用車にはねられたのだ。

何メートルか飛ばされ、「あ…もう駄目かもな」とかすかに頭をよぎった。

しかし、何とも不思議なことにOは軽いかすり傷程度で済んでしまったのだ。

しかし、例のお守りはポケットの中で不自然なほどバラバラに砕けてしまっていたらしい。

「あれでもう、運気を全て使い果たしちゃったのかもな…」

それ以来Oの運気は落ちる所まで落ちてしまった。

そして、やがて賭け事を全くやらなくなってしまったのだった。

怖い話投稿:ホラーテラー geniusさん  

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