中編5
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神の住む山・終

続きです

俺達の前の光景……

人が横たわっている……

いや、人というより《物》と言うべきだろうか……

遠目で見てもわかる……

すでに死んでいる……

政「マジかよ……」

俺「ヤベっ、吐きそう…」

色々と経験してきた俺達だが、さすがに死体を見たのは初めてだ…

周囲に漂う悪臭とのWパンチで、俺達はその場でしゃがみ込み、リバースしてしまった

朽ち果てた死体……

神隠しに遭った大学生だろうか…

俺「……どうする?」

政「どうするって、スルーはまずいだろ……」

俺達は供養することにした

モーガンからお経など一通り習っておいて本当に良かった…

元々、ゴミ拾いなどをするつもりで軍手やスコップなどを持っていたので、土を掘り、そこに埋めてお経を読んだ……

軍手をしているとは言え、死体を持つのは気分が悪い…

この時はさすがに泣きながら死体を運んだ……

お経を読み終え

俺「安らかにお眠り下さい…」

政「頼むから俺達の後を追ってくるなよ……」

とにかく、この場から離れたいという一心で小走りで道を進んでいった…

政「おいっ!空見ろ!」

いつの間にか、辺りが暗くなってきた

俺「抜け出したのか?」

政「そうだろ多分…」

俺「マジかよ〜〜」

夜をこんなに喜んだのは生まれて初めてだった

それから30分程歩いた所だろうか………

ついに感動の再会……

俺「モーガンっ!!!」

モーガン、伸に俊……

男に抱き着いたのも生まれて初めてだろう…

モーガン「お前達、こんな所に居たのか……」

俺「ここは何処だよ?」

モーガン「ここはワシ達が登った山の裏にある森だ……急に居なくなるもんだからビックリしたぞ!まぁ無事で何よりだ…」

俺「2日も迷ったんだ…無事じゃねーよ」

モーガン「2日…?」

モーガンや伸達がザワザワしだす

今度は何だよ………

伸「今、5時半だぞ?」

政「だからなんだよ!!」

モーガン「ワシらが山に入ってから、まだ4時間しか経っていないということだ……」

は!?

いやいや……

意味わからないっす……

俺「俺と政が見たのは夢かよ?」

政「死体も?」

そうだった……忘れてた……

俺達はモーガンを連れ、死体を埋めた場所まで戻った

ちゃんと埋めた形跡がある…

夢じゃなかった……

そう思うと、また吐き気がしてきた

俺「伸、俊……見ない方がいい」

俺達4人は少し離れた

モーガンは土を掘り返している

チラっと見てしまったが、やっぱり死体はあった……

モーガンは何かぶつぶつと唱え、また埋め直した

モーガン「これはお前達が供養したのか?」

政「ああ、そうだよ!本当は走って逃げたかったけどな!!」

モーガンはニッコリ笑い、

「ふむ、供養の仕方は合格だな

まぁ欲を言えば、土はもう少し優しくかけてやれ……あまり固めてしまうのは良くないからな」

俺「もうやんねーよ!」

モーガン「しかし……これでお前達の言ってた事は証明されたな」

政「何が?」

モーガン「今は秋……、もう朝は肌寒いじゃろ?夏ならともかく、たった3日間で人間があそこまで朽ち果てると思うか?」

やっぱり、この森は時間の進み方がおかしい……

モーガン「もう遅いし寺に帰ろう遺体の事は清雲様に話して対処してもらう……」

俺達は寺に帰った

俺と政にとっては2日ぶりの寺…

寺に入ると、中は騒然としていた

モーガン「何があった?」

坊さん「あの大学生がお亡くなりになりました……」

!!?

俺達も急いで部屋に入った…

中にいた清雲の爺さんが俺達を見るなり、

「すまん、ワシの思い違いのようだ……この子を苦しめておったのは、龍神様ではなかった」

モーガンは山であった事を爺さんに話した

よくわからない話や専門用語が出て来たが、まとめると

寝たきりの人を苦しめていたのは山に残されたもう1人だった

きっと、自分を置いて逃げた事を恨んでいたのだろう……

俺達もあの森から出られずに死んでいたら、伸や俊を恨んだかもしれない……

そう考えると、なんとも後味の悪い終わり方である……

その日も宴会が開かれたが、なんだかそんな気分でもなかった…

まぁ飲んだけど…WWW

次の日、俺達は寺を後にし自宅へと帰った……

行きとは違う道を通っている…

政「帰るんじゃねーのか?」

モーガン「ちょっと寄りたい所がある……」

10分ほど車を走らせ、モーガンは道の端に車を止めた

モーガン「あそこを見ろ」

モーガンの指の先には大きな木があり、その下に一人の女の子が立っていた…

俺「あれは?……霊か?」

モーガン「ああ、あの子は付き合っていた彼と会う時にはいつもあそこが待ち合わせ場所だったらしい……だがある日を境に彼はあそこに現れなくなった……他の女と一緒になっていたんだ………

彼女は待ち続けた…

いつかは来てくれると、彼の浮気を信じなかったんだ……

そして、死んでしまった今でも彼を信じて待っているんだ」

政「その男はクズだな!!」

俊「許せないっすね!」

モーガン「清雲様に聞いたんだがな、あの亡くなった大学生は寺に助けを求めた後、また自分で山に捜しに行ったらしい……

『きっと来る!と信じる事』と

『見捨てられたと恨む事』……

どちらが正解なんだろうな…

きっと、正解なんてないんだろうがのぅ……

どちらが《幸せ》かと考えれば、答えは明白だな……」

心を読まれている様な質問だった

モーガン「『待っている』人間が居るなら捜さないといけない…

『捜す』人間がいるなら信じなければいかん……

お前達は、各々がこれを忘れてはいかんぞ」

なんか心のモヤモヤが取れた

肩の荷が降りて、帰りの車では爆睡することができた

こうして俺達の楽しい旅行は終わった……

死体等の件は清雲の爺さんが色々と気を使ってくれ、俺達の名前は伏せてくれた……

なのに空気の読めない困った政くんは、これを学校で自慢気に話していた………

これにはさすがに引いた……

まぁ、誰も信じなかったので良かったが……

これを機に俺達4人は学校で

『幽霊一家』と呼ばれる様になりちょっとした有名人になった

ありがとうございました

文才が無く、4つも分けてしまい申し訳ありませんでした

他の話も投稿しようかと思ってますので、暇な方は読んでやって下さいm(__)m

怖い話投稿:ホラーテラー 優さん  

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