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中編5
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悪魔の囁き

彼は、普通の高校生だった。あの部屋に関わるまでは・・・

彼の高校に4つ校舎がある。

その1校舎は専門校舎と言われ校舎の中で一番古く視聴覚室や化学室などがあった。しかし、使われていない部屋が1部屋あった。

特に何かがあるってわけじゃなくて窓の外から白いカーテンの隙間を探し中を見るけど、見えるのは黒板と棚があるくらい。

誰かがそこで亡くなったりとか、怪我したりとかしたわけじゃなかった。

ただ、全校舎全部屋を何かしら使用しているのに使わない教室がある。ただそれだけなんだが気になっていた。

ある日、担任の先生にあの教室について聞いてみた。

『ただ使ってないだけやろ?』それは、そうなんだが・・・そう言われると何か裏があるんじゃないかってすごく気になる。

しかも普通は、【視聴覚室】【機械室】【技術室】って教室のドアの上に書いてあるだけど、そこだけ何も書かれていないんだよ。やはり気になる。

俺が引っ掛かっていたのは、それだけじゃなかった。専門校舎の鍵置場が職員室にあるのだが、順番に並べられた鍵の中にあの教室の鍵がない。

そして、新しいダイヤル錠で頑丈に閉鎖されている。

ある日のこと。いつも通り例の教室の前を通過したときに違和感を感じた。気になっていたのが幸いしていたのか、毎日教室に執着していたせいか、いつもダイヤル錠は【5213】となっているのだが、最後の3が2と3の真ん中になっていた。つい最近誰かが開けたようだ。

開けるなら完全に学校関係者の誰かになる。何もないはずの教室に入る奴はいない。やはり、この教室には何かある。

待てよ・・・いつも【5213】ということは全ての数字、もしくはどれかの数字を1か2ずらせば開く可能性があることに気付いた。

自分がこの教室に入るなら、人目に気付かれないように夜に入る。しかし、夜にダイヤル錠を回して開けるのはしんどい。だから1か2ずらしていればダイヤル錠を手に持ったときに感覚でわかるはず。何か明かりがあれば別だが・・・

転機は突然訪れた。

【専門校舎の取り壊し】

どうやら古かった専門校舎を壊して新しい校舎を建てるらしく、仮設のプレハブ校舎に専門校舎にある器材や机などを移動しなければならなかった。

『しめた!』と、このチャンスをうまく利用して例の教室に忍び込む計画をたてた。

深夜

高校のグランド横のフェンスをよじ登り専門校舎へと急いだ。すでに取り壊しが始まる準備ができていた。重機がグランドの隅にあった。

専門校舎に着き、例の部屋の前に立った。あのダイヤル錠が外され扉が少し開いていた。

誰か中にいるのか・・・期待と不安を持ちながら使われていない教室に侵入した。

しかし、その教室は何もない。何かあるのでは!と何を探すでもなく、うろうろと教室中を懐中電灯で照らしては床から天井またはドアや窓などを隅々まで調べた。

が、何もない。

すると・・・

コツコツ

足音が聞こえる。

彼は、教室の隅のカーテンに隠れて息を潜めていた。

コツコツ

足音は、どんどん近付いてくる・・・

ガラガラ

ギシッ ギシッ ギシッ

教室の中に入ってきた・・・

懐中電灯で教室内を照らしているようだ・・

ドクドク・・

彼の心臓ははち切れんばかりに脈を打つ。

ハァ ハァ ハァ

吐く息さえ、奴に聞こえるかもしれない・・・それくらいの静けさだった。

フフフ・・

教室に入ってきた奴は笑った。どうやら、男のようだ。

カーテンを、そーっと開いて男を見てみる。

暗い教室の中で奴は右手に懐中電灯を持ち、ギシッ ギシッと教室をゆっくりと歩いている。

部屋の隅々を照らしているようだ・・何か探しているのか・・まさか、部屋に侵入したのがバレたのかもしれない。

やはり、この教室には何かあるんだ・・しかしなぜ鍵が開いていたんだ・・

まさか、俺を誘い込むためでは・・最近、この教室に固執していたのを知っているのは友人数名と担任。

担任が俺の事を奴に話たのかもしれない・・

教室に隠された何かが見つかると、ヤバいのかもしれない。

それなら、納得がいく!

使わず閉ざされた教室。閉ざされた理由を知らない生徒や先生達・・

部屋に侵入しようとした日に鍵が開いていたのは、狙ってのことだろう。

秘密を知られては、まずいと思い思いのままに操られていたのかもしれない。

偶然この日を選んだ俺だったが、意図的に策略にハマった可能性が高い!

こうしちゃいれない!

なんとか逃げ出さなきゃ・・

しかし、身動きがとれない・・

ガタッ

しまった!

彼は焦るばかり壁に背中が当たってしまった。

奴は急に振り返り懐中電灯でカーテンを照らした。

『・・フフフ・・デテオイデヨ・・』

奴は、ボソッと口を開いた。

やはり、俺狙いか!

策略にハマってしまった。

どう逃げる・・・

ここは、奴を倒して行くしかない・・窓を破る為には助走が必要だが真上の窓を割って逃げれる距離ではない。

それなら、奴に体当たりして逃げるしかない・・

うわぁぁぁ!

彼は、懐中電灯を振り上げて奴に殴りかかった。

・・・彼は気が付くと、自分のベッドに寝ていた・・

夢か・・

彼は汗だくで目を醒ました。

ピンポン ピンポン

朝から、自宅のチャイムが鳴り響いたが いつも母親が出るので無視したが 1階に行きシャワーを浴びたかったので階段を降りていくと

『はーい』と母親が玄関を開けるとけろに出くわした。

『○○署の者ですが・・息子さんいらっしゃいますか?』と警察だった。

警察と目が合った彼は、そのまま連行された。

『君、昨晩どこにいた?』

え・・

『君は警備員の○○さんを撲殺した容疑がかかっている。』

彼が昨晩殴り倒したのは、猫を探していた警備員だったそうだ。

違う!俺じゃない!奴が!奴が俺をハメたんだ!

念入りに計画してハメられたんだ!

奴だ!

怖い話投稿:ホラーテラー 福岡県民さん  

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