まだ終わっていなかった。
あの怪奇現象から数日後
僕はムービーのカメラを持ち、友人と仲介不動産屋に行きました。
担当の方にムービーを再生して見せたところ、社長に連絡してもらい新しい物件を無償で入居させて頂くことになりました。
以前、住んでいた方も早々に出て行った理由がわかったということで1年以内に退出した場合の違約金を返済という異例の対応となった。
あの部屋には錠がかけられて封鎖されたようです。
あの録画したムービーは、僕の手を離れて友人に返却した。
友人から聞いた話によれば、近くのお寺にて無償で清めて頂き録画したものは消却したそうだ。
〜消却後 2日目の夜から3日目の朝〜
夜中に友人から携帯に着信が入っていたのだが、仕事中だったので朝まで連絡することが出来なかった。
朝方、仕事が終わって友人に連絡をするが友人は電話に出なかった。
一応、メールで
『どうした?』と送信した。
〜消却後 3日目の夕方〜
夕方、目を覚ますと着信が7件入っていた。
友人からだ。
電話するも、出ない・・一体どうしたんだ・・
今日は仕事が休みなので近くの友人宅へ車でむかった。
友人宅に5分ほどで着いた。
友人宅は実家で僕は友人の親と面識はないが、明かりがついていた。
玄関のチャイムを鳴らした。
ピンポン
出てきたのは、どうやら友人の姉のようだ。
友人を○○と呼び捨てにしたので姉と判断した。
事情を話すと最近よく彼女が、遊びに来ていて部屋に篭ることが増えたということだった。
・・・彼女?・・・
彼女がいるなんて話は聞いたことはない。
まさか!
と、思い姉に友人の部屋が2階だと聞き走り上った。
ダダダダダダダダ
階段を上り、奥の部屋を開けた。
ドンッ!
ザー ザー
これは!
薄暗い部屋の中のカーテンは仕切られており、テレビだけがついている。
部屋の中央には毛布を被った友人がいた。
ギィー
テレビには、消却処分したはずのあの女が流し台下から出てきた。
友人に声をかけるが反応がない ・・
友人の前に出て、友人の顔を見た。
白目をむいたままテレビにむかっている。
笑っているのか、ゆだれを垂らしながら口の両端が上がっているではないか・・・。
『おい!どうした!』
オェ オェ
テレビでは、女が嘔吐している・・・あの日の記憶が蘇ってくる・・・。
友人を、部屋から引きずり出して友人の姉を呼んだ。
『○○が倒れてる!救急車を呼んで!』
ダダダダと階段を駆け上がってきた姉は携帯電話で救急車を呼ぶためだろう。
2階の友人部屋の隣の部屋へ入った。
ゴホッ ゴホッ
友人が目を覚ました。
友人は、むくっと立ち上がり何が起こったのかわかっていない様子だった。
『大丈夫か?』
『う・・うん。』
友人部屋のテレビは、ザーと鳴り響いていた。
次の日
友人に成り行きを聞いたのだが ダビングした覚えのないDVDをリピートであの映像を繰り返し見ていたようだ・・・と語った。
葬ったはずの、あの映像は一体誰が・・・何の為に・・・
友人の姉が語った【彼女】も、今や謎のままだ。
その後、友人宅を訪れて話をしていると噛み合わないことがあった。
彼に姉はいなかった。
数日後
新しい部屋に住むようになった僕はホームセンターで新しいキッチン用品を購入しようと店内を回っていた。
あの忌まわしい出来事で犠牲になったキッチン用品は破棄したからだ。
すると、封鎖された部屋の隣人のおばさんに遭遇して僕を見かけるなり一言。
『最近、虫が出るのよね』
怖い話投稿:ホラーテラー 福岡県民さん
作者怖話