ペナンは肥大化した巨体で、部屋の奥へと引いた。
そして、顎で他のナイトメア達に合図を出し、彼らをニックとビリーにけしかけた。
「ちっ、ほとんど丸腰状態の俺達を殺すのにはこいつらで充分だってか!?
ナメんなよ、俺の実力を見くびるな!!」
そう言うと、ビリーは天井の高さギリギリまで飛び上がり、向かってくるナイトメア達に強烈な蹴りを浴びせた。
それを喰らった一体のナイトメアの頭部が一瞬で消し飛んだ。
それに驚いたのか、他のナイトメアの動きに一瞬の隙が出来た。
それを確認したかの様に、ニックは素早く動き、ナイトメアの首に脚をかけそのままナイトメアを地面に蹴り倒し、倒れ込んだナイトメアの首をへし折った。
「やるじゃねぇか、ニック。ただ俺の御守り役やってるだけじゃなかったんだな…」
「……今更言うな。
さぁ、ビリー、残り6体…さっさと片付けるぞ!」
「了解。」
ニックとビリーのコンビにかかれば、雑魚程度のナイトメアなど、2人の足元にも及ばない。
10分もしない内に、ペナンが2人にけしかけたナイトメア達は動かなくなっていた。
「さすがだな、ニック・マディソン、ビリー・フレイ。私は君達を甘く見ていたみたいだ…」
「…っへ。なめんなよ、こっちは今まで幾つも修羅場くぐってんだよ。こんな雑魚共に負けるか。」
「確かに、こんな木偶共に君達2人が殺られてしまっていたら私も興醒めだったよ…
では、木偶共と私の能力の違いを身を以て知ってもらおうか!!」
「…!?来るぞ、ニック!」
「……ここからが本番だな。」
ニックとビリーに向かって、ペナンが突っ込んで行く。
2人はG36マシンガンのトリガーに手を掛け、引き金を引いた。
秒間10発もの速度で高速射出された9mm弾がペナンに向かう。
「ふん、小賢しい…」
ペナンは、自身の左腕を肥大化させ、シールドを造り出しそれで弾丸をしのいだ。
「クソ、やっぱり駄目か…」
「今さらこんなもんが通用するとも思っちゃいなかったがな。」
「ビリー、ここの出口を探すぞ。このままじゃ分が悪い。」
「隠れるつもりか!?
無駄だ、お前達2人は此処を出る時にはただの屍になってるだけだ。」
そう言うと同時にペナンの腕が伸び、ビリーの体を掴み上げた。
ビリーがそれを振りほどこうと必死にもがくが、ペナンの力は想像以上に強かった。
「ビリー、体を引け。」
「はぁ?」
ニックはおもむろにペナンの腕を蹴り上げた。
同時に物凄い力で拘束されていたビリーの体が自由になる。
「……く、ニック・マディソン。
貴様、一体…」
「ペナン、言い忘れたが、俺はただビリーの相棒をしている訳じゃない…」
「どういう意味だ…」
「ビリーはN.I.S.にとってトップレベルの戦力になる大事な隊員だ。だから、お前みたいな雑魚に殺させるわけにはいかない…」
「ほぅ、それじゃつまり、貴様はビリーの護衛役と言う訳か。」
「は?え、何?話が呑み込めないんですけど!?」
「ビリー・フレイ少佐、君の相棒のニックは、君よりも腕がたつと宣言したんだ。」
「おいニック、マジかよ!?
お前、んなハッタリかましてどーすんだよ!?」
「悪いな、ビリー。今まで黙っていたが、今ペナンが言ったことは本当だ…」
「いや、だってお前…
俺がいつも一人でナイトメアの相手して、お前はサポートオンリーだったじゃねえか…」
「お前を実戦で鍛えるためだ…
俺は常に、もし、お前がヤバくなったら助けるつもりでいた。」
「何でだよ、何でなんだ?俺が役不足って事かよ!?」
「そうは言っていない…
だが、まだヒヨッコだな。」
「ニック、それは冗談で言っているだけだと…この場はそうしとく。
だが、任務が終わって本部に帰ったら、全てを話して貰うからな!」
「…わかった。」
「もう身内話は終わりかな?ニック、ビリー…
もし終わったと言うのなら……………
次は2人仲良く死ねっ!!」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話