私は幼いころ私は、都内のど真ん中に位置するマンションに住んでおり、不思議体験とは縁遠い生活をしていました。
学校生活もあとわずか・・・そんな時期に東京から近隣のC県へ引越しをすることが決まったのです。
この引越しを機に私の不思議体験が始まりました。
引越後1週間ほどすると新しい友達(私を含め4人グループ)も出来、学校生活にも慣れてきました。
そして「図画工作」の時間に私の【初不思議体験】が起こったのです。
それは、3時間目と4時間目をぶち抜いて設定された、スケッチの時間でした。
学校近隣で好きな場所を選び、3~4人のグループでスケッチに行くという、小学生にはたまらなく楽しみな授業でした。
私は仲の良かった友達3人と学校裏の神社に行くことにしました。
そこは徒歩10分ほどに位置する寂れた神社です。
「神社なら描くものがたくさんあるだろう」
題材選びに事欠かない・・・そんな軽い選択でした。
畑に囲まれた田舎道を歩くと、途中から二手に分かれます。
左方向に進むと下り坂の先に道が開けており、
右方向に行くとなだらかな上り坂。
カーブを描いた上り坂は生い茂った木々に囲まれていて、その先に鳥居が現れます。
まだ昼前の明るい時間でしたが、その上り坂はやや暗く、涼しい風が吹いていて心地いい感じさえしました。
神社の周りで題材を探し、結局は定番中の定番という感じで鳥居と周りの樹木を描くことにしました。
構図全体が入る場所を見つくろい、地面にそのまま腰を降ろし鉛筆を走らせます。
ひたすら集中し、絵を描くこと1時間、下書きはほぼ完成しました。
「さぁ、あとは色塗りだね」
4人それぞれが絵の具を出し始め、ペットボトルに汲んできた水を、筆洗に注ぎました。
道具入れに視線を落としたその時、前方に何かの存在を感じた気がしたのです。
多分その感覚は4人が同時に味わったのだと思います。
何故なら、横並びに座っていた4人が一斉に顔を上げたから。
鳥居の下にはこちらを見ている女性が立っていました。
遠目だったのでハッキリ顔は分からなかったけれど、多分知らない人です。
スケッチ先はクラスで話し合い、グループごとに行き先を変えたため、他のクラスメイトがそこにいるはずはありません。
神社の奥は行き止まりなので、誰かが来るにしても私たちを追い越さない限りそこにいるのはオカシイのです。
神社自体も古いもので誰かが常駐している・・・そんな雰囲気はありませんでした。
そこに立っていた人は髪を後ろに束ね、余った髪が左右から胸の辺りまでたれていました。
鳥居全体を絵に収めたかった私たちは、鳥居からちょっと距離を置いて座っていたので、その人の表情までは分かりません。
ただ、白い着物を着ており、左足部分には大きな赤い花(当時は花だと思っていましたが、あとで「血なのかもっ」と噂が流れました)が描かれていました。
体型と髪の長さから女性と判断した私たちは、
「なんであんな所に女の人がいるんだろう・・・」とボソボソ小声で話していました。
不思議な体験というものをしたことが無かった私たち、怖いという感情さえ芽生えず、ただ不思議に思うばかりでした。
その女性から目が離せずに居ると、私たちに向かい手招きをし始めました。
その手招きは徐々に早くなり、必死さが伝わってきたのです。
私たちは再度小声で話し合いました。
「どうしよう・・・」
「なんだろう・・・」
「とりあえず行ってみるか・・・」
私たちは地面から腰を上げ、ゆっくりその女性に近づきました。
さらに激しく手招きをする女性。
私たちは自然に小走りになりました。
そのときです。
激しい風が吹き荒れ、古い注連縄が巻かれた巨木が倒れてきました。
その木は、先ほどまで私たちが座っていた場所に倒れこみ、
置き去りにしていた筆洗の水を撒き散らし、
絵の道具全てを押しつぶしていました。
私たちは木の枝がこすれるザザザッという音で振り返り、倒れていく状況を見ていました。
木自体は子供4~5人が手をつないで囲むくらいの太さがありました。
もしそのままそこに座っていたら、足がすくんで逃げられなかったでしょうし、軽くすんだところで大怪我は免れなかったと思います。
プラスチックで出来た筆洗もグシャリと潰れていました。
視線を元に戻すと、その女性はいつしか居なくなっていました。
巨木と枝や散った葉で帰り道をふさがれていた私たち。
4時間目が終わっても戻ってこない私たちを、「給食だぞ~」と担任が探しにきたことで発見され無事帰れました。
4人同時に見た女性の存在。
あれは一体なんだったのだろうか・・・。
その日を境に、私の不思議体験は激しくなっていきます。
後日、その内容を記載したいと思います。
この時の一件は、地元紙に載るくらいの大ごとになりました。
神木が倒れるということに注目が集まったのと、地域全体が校外自習禁止になったようです。
読みづらい文章でスミマセン。
初投稿となります。
今回投稿した内容は脚色なしの100%実話です。
今でもC県N市にその神社はあります。
怖い話投稿:ホラーテラー まるさん
作者怖話