ガチャ
「ただいまー」
と言っても家からは当然返事はない
父は出張、母は友達と旅行で家には私1人だ
今はちょうど友達と買い物をして帰ってきた所
夕食も付き合ってもらったからもうあたりは真っ暗だった
疲れと解放感でため息をつき、リビングのソファーに深く腰をかけた時に
ふと赤い点滅が目に入った
リビングにあるインターホン応答用の機械だ
留守中の訪問者の画像と音声を保存したことをお知らせする点滅のようだ
気になったので見ることにした
「6件もある……ちょっと悪いことしちゃったな」
1:05
私が家を出てから2分後のことだった
「おかしいな…出た時は周りに人がいなかったのに………あれ?」
写し出された画像には誰も写っていなかった
『…………』音声にも声はない
「機械が間違ったのかなぁ……」
2:05
またさっきと同じ誰もいない画像が写った
「なにこれー壊れてるじゃない!!」
誰もいない部屋で文句を言い、もう一度ソファーに戻ろうと背を向けた時
『………テ……』
何を言ってるか分からないくらい小さな女性の声が聞こえた
びっくりして後ろを振り向くが自動で次の記録が出される所だった
3:05
またきっかり1時間
少し怖くなってきた
時間もそうだったが写った画像がなにより私にそう感じさせた
「女の人が写っている……」
インターホンからかなり離れて小さく立っているのが写っていた
そして「……ケテ……」また同じ女の人の声だ
「偶然だよね………」
そう自分に言い聞かせた
4:05
私は思わず悲鳴をあげそうになった
女の人が少し近づいて写っていた
髪はロングで白いワンピースを着ていた
『……ケテ……』
声も大きくなってきたがまだ聞こえずらい
「なんなのよ……これ…」
私の恐怖にはお構い無く機械は次の画像を写し出そうとしていた……
5:05
さらに女の人は近づいていた、しかし顔はまだはっきり分からない
私の体は自然と震えていた
「絶対生きている人じゃない」そう思った
その時
『……アケテ……』
音声が流れた
「開けてって言ってるよね?………」
もう限界だった
急いで取り消しを押そうとするが、どのボタンを押しても消えない
6:05
最後の画像が写し出された
見たくなかったがつい画面に目が行ってしまった
女の人はインターホンの前まで来ていた
青白く、こっちを見ている
『……アケテ……』
「キャァァ!!!」
悲鳴をあげて床に崩れ落ちた
時間はもうすぐ7:05を指そうとしていた
ピンポーン…………
『…ハヤク……アケテヨ』
……「この家で何かありましたの?」
「あっ!お隣の奥さん!この家のお嬢さん、昨日首を絞められて殺されたらしいわよ」
「もしかして高校生になったばかりのあの子!?優しい子だったのに……可愛そうにねぇ……」
「なんでもインターホンの記録に人も声もない不可解な記録が7件あったって警察の人が……怖いわねぇ…」
ちょうど1年前にある事件が起こった
その女性は以前からある狂信的なストーカーの被害に合っていた
誰かに話すと殺すと脅されていて、ばれないように友人に相談することで精一杯だった
今日もその友人の家に行き、相談を受けてもらいついに警察に言うことを決心したが、友人の家を出てすぐその男に見つかってしまった
今度こそ殺されると思い、友人の家に助けてもらおうと思った
しかし友人は既に男に脅されており、本人を差し出したら見逃してやると言われていた
そうとは知らず必死に助けを求めるが、間もなく男に絞殺された
男は後を追って自殺
友人も罪悪感から後に自殺した
インターホンの記録には7回その女性の悲痛な声が残っていたと言う
そして今もまだドアを開けて欲しくてその女性はさ迷っているのかもしれない
自作なので全く有名ではございませんが、読んで頂きありがとうございました。
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作者怖話