これは半年程前の体験談です。
その日は土曜日で、私と旦那は明日は仕事休みだから出掛けようということになりカラオケへ行った。
そして、3時間位して帰る事になった。
いつもと変わらない帰り道になるはずだったのですが…
その日は何故かいつもと違う海沿いの道を通って帰ることになった。
そして、車を走らせているとさっきまで全く無かった霧が視界を邪魔し始めた。その日は霧がでるような天候ではなかった。
私と旦那は『変だね…』と話ながらさらに車を走らせる。すると旦那が話はじめた。
『この近くで事故があって人が死んだんだよ』
旦那が言った瞬間、私はゾクッとした。もともと子供の頃から霊感がある私は嫌〜な感じがした。
[後に誰か居る…]
怖くて口には出せません。旦那に、その話はもうやめようと言おうとしたが言葉にならない。喋れない。
旦那は話を続けた。
『どんな事故かっていうと、朝方(5〜6時位)ある夫婦がいつもどおり散歩をしていた。するとその夫婦に、夜勤あけの看護婦が運転する車がハンドル操作を誤り突っ込んでしまった。そしてその夫婦は車にはねられてしまった。旦那さんは怪我はしたが命は助かった。だが、車道側を歩いていた奥さんは無惨にも足をひきちぎられショック死したらしい』
旦那の話が終わると、嫌〜な感じはいっそう強くなり、確信した。
私達の後に居るのは、その生き残った旦那さんだと…。
それに気付いた瞬間、ブツブツと呟く声が聞こえてきた。
[ワタシガ アッチヲ アルイテ イレバ………
ドウシテ○○ガ…………]
旦那さんが自分が車道側を歩いていれば奥さんを死なせることはなかったと後悔しているようでした。
皆さんがお気づきのとおり私達の後にいたのは生き霊だったのです。
当時、怪我をした旦那さんは病院に入院していたらしく、その強い思いだけ事故現場に来ていたのでしょうか。
私は旦那に理由は告げず、とにかく人通りが多い所を通って帰ろう。と言いました。今度は言葉がでました。
旦那は気付いてなかったらしく、私の表情から何かあったのだと察知し言うとおりに人通りの多い所を通って帰りました。
コンビニを通り過ぎた時、その嫌な感じと気配がなくなりました。
帰り道、私達は一言も話さずにアパートに帰り、部屋に入って落ち着きを取り戻した私は旦那にさっきあった一部始終を話ました。
その時です。
部屋の窓に何かがあたる音がしました。
恐る恐るカーテンを開けてみるとそこには無数の手形がついていました。
あの旦那さんですが、今はこの世にいません。
退院した日、自殺したそうです…
もうあの道は通りません。
怖い話投稿:ホラーテラー Banana Chipさん
作者怖話