短編2
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約束

僕の彼女とは付き合ってもう4ヶ月になります。

不謹慎だけど、友人のお見舞いに行った帰りに病院の庭で彼女と出会いました。

その日、夕暮れのオレンジに染まる桜の木の下にいた彼女は春の妖精のようであり、舞い散る花びらですら、彼女の美しさを引き立てしまうだけの存在にすぎませんでした。

そう、僕の一方的なひとめぼれでした。

彼女はその病院で手術をしたらしく、術後の経過を診るために病院に通っていたそうです。

頻繁に見舞いに来る僕に友人はびっくりしていましたが、まさか彼女に会うためなんて言えませんでした(笑)。

病院の近くの河川敷で毎年開かれる花火大会の頃には、僕たちは付き合っていました。

彼女の透き通った白い肌

髪をかきあげるときの横顔

鼻歌を歌いながら時々間違えたりして、恥ずかしそうに笑う仕草

全てがいとおしく、彼女の為なら世の中全部敵に回したっていいって本当に思えるのです。

でも気になることがあるんです。

今まで一度も彼女に触れたことがありません。

触れるのを嫌がると説明したほうがいいのかもしれません。

手術のあとが完全に治ってないからって言うけど、どこを手術したのか教えようとしないし。

やがて僕は不信感を持つようになりました。

他に好きな人がいるんじゃないか

男がいるんじゃないか

そぉいえば、部屋のトイレに行った時、便座が上がってた時があったような気がする

タンスの奥に僕のではない男者の服があった気がする

疑いは更なる妄想を生み、彼女に、僕ではない違う男の影を映していきました。

そしてついに彼女を問い詰めました。

「なんか、隠してることない?こんなに愛してるから、僕は本当のこと知りたいんだ。」

『………。』

「これから、なにがあっても、ずっとそばにいたいんだ。頼むから教えて。」

『……………。ホント?「なに」があっても?ずっと?』

「うん、絶対約束する!地球上の全ての神に誓う!」

『………わかった、男と男の約束だよ』

「おぅ、男と男、・・・・ ・・・・え゛っ??」

怖い話投稿:ホラーテラー ソウさん  

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