ある男がアパートで眠っていた。男のアパートでは急に物が落ちたり不可解な音が聞こえたりする事がよくあった。
男がふと目を覚ますとペタ……ペタ……と人の足音が聞こえる。あぁまたかと思うくらいで男は眠りにつこうとした。
しかし足音はなくならずそれどころか自分が寝ているベッドの方へ近づいてくる。さすがに怖くなった男は布団を頭まで被り目を強く瞑った。
足音がベッドの真横まで来て聞こえなくなった。恐る恐る布団の中から覗いてみるとそこにはなにもない。
ふぅと安心した男は布団から顔を出して何気なく正面を向いた。その瞬間男の顔から血の気が引いた。
そこには白い死に装束を着た男の老人が不気味な笑顔を浮かべて横になっている男の上に乗っかっていたのだ。
恐怖のあまり声を出せずもう一度布団に潜った。老人がベッドを這いながら徐々に近づいてくるのが分かる。
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏……どうか成仏してください……」
男が必死に唱えると老人のクックックッと笑う声が聞こえた。そして老人は頭を男の顔の横に近づけて一言こう呟いた……
「そんなの意味ねぇぞぉ!」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話