短編1
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火の用心

怖いというよりは不思議な話です。

その時私はまだ学生で、冬休みに入るか入らないかの冬序盤でした。

夜が段々と長くなっていたので、うっかり次の日は学校なのに夜更かしするのがしょっちゅうでした。

その日もそんなふうに夜更かしをして、深夜番組を母と楽しんでいました。

番組も終わり、さあそろそろ寝るか…という雰囲気になってテレビをぱちんと消すと、急に辺りの静けさが際立って今まで聞こえなかったものが聞こえてきたのです。

“…ーん…かーん…”

(ん?今の音なんだろう)

…そう思って私は耳をすませました。

“かーんかーん…かーんかーん…”

(ああ、火の用心の木の棒の…そういえばお母さんも夜回るのなんてめんどくさいってぼやいてたっけ…)

そこまでぼんやりと考えて、ふと気が付きました。

今は深夜、1時。

回覧坂でまわってきた火の用心当番の時間はせいぜい八時くらい。

今人が回るなんて考えられないのです。

でも今確かに聞こえてきているのは火の用心の木の棒の音。

しかも段々と近付いて…

私はなんだか恐くなって、先に二階に行った母の後をおいました。

あの音がなんだったのか、今でも謎のままです…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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