短編2
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『心霊写真』

アイツが憎い…。

ずっとアイツがライバルだった。

アイツはいつも私を出し抜く。悔しいが見た目も性格もよく、世渡り上手とくる。

写真家としてデビューしてアイツは数々の賞を総ナメにし、先輩の俺は立場が無くなっていった。

私はアイツのHPに散々、あることないことまで書き込みをしたが、そんな事で何かが変わることはなかった。

こうして霊になってからも、この恨みは消えぬ。

かといって呪うことはできなかった。そもそも、『呪い』というものが本当にあったら、世の中の凶悪犯罪者はすぐに呪われて死ぬはずだ。

アイツの作品に写ってやろう。

恐ろしい心霊写真しか撮れない写真家は、相手にされなくなるだろう。

公園でアイツがカメラを構えている。

『今だっ!』

…………。

駄目だ、思わず癖でピースをしてしまった・・・

恐怖心を煽る写真にしなければならない。

定番ではあるが、長い黒髪に赤いワンピースにしよう。

次の日のあるスポーツ新聞の一面をヤツの作品が飾った。

『オカマの幽霊参上!!』

私に女装は向いていないことを知った。

元写真家として定番はプライドにかかわる。

あり得ない場所にあり得ないモノが写ってこそ、恐怖心を煽るのだ。

よし、これでいこう!

翌日、またあのスポーツ新聞の一面をアイツの作品が飾る。

『爆笑!!ありえない場所にケツだけの浮遊霊!』

インパクトを重視しすぎてしまった。

全身血だらけの男がたっていたら、さすがに驚くだろう。

真っ赤に夕暮れを染める太陽にかきけされた、私が写っていない美しい作品ができた。

初心にもどろう。

やはり、シンプルに限る。

顔面蒼白の男が立っていたらどうだろう?

モノクロの写真に普通のおっさんが写っていた。

っていうか、死んでる私が写っていることに気付いてくれよ。

頭にきた!

これ以上写真に写ってもアイツの知名度を上げるだけだ。

霊感からかけ離れた鈍感なアイツは、例え私が姿を現しても気付くわけがない。

最後の手段だ!

アイツに電話してやる!

メリーさんのパクりになってしまうが、俺の声を聞けばアイツも気付くだろう。

……………通じない。

電話料金払えよ!!

怖い話投稿:ホラーテラー ソウさん  

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