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短編2
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確かに見た(一)

あれは今から10年程前、私がまだ小学校5年生くらいの時のことです。

その日の夕方は、台風の影響から天候が酷く荒れていました。しかし外出ができない程ではなかった為、母は夕飯の準備をすませると、私に姉(当時中学生で運動部)が帰ってきたらご飯を食べるように言い、保護者会に出かけて行きました。

午後7時を回ったあたり(当時好きなアニメがあった為はっきりと覚えています)で、私はテレビを見ながら姉の帰りが遅いのを心配していました。運動部ですから帰りが遅いのは仕方ありませんが、夏にも関わらず辺りは暗く、雨足も強まっていたからです。

それから約30分ほど経った時でした。         バタンッ、というドアが閉まった音を耳にした私はリビングの扉に目を向けました。

リビングの扉はすりガラスを使っていますが、玄関に繋がっている廊下に面しているので人がいれば分かるからです。

更に言えば、家の作り上、その廊下を通らない限り他の場所には行けません。

そこで私は白い人の形をした影が扉を横切るのを見ました。その後にギシ、ギシ、と階段を登っていく音が聞こえた為、姉が自分の部屋に荷物を先に置きに行ったのだと思い、私は母の言い付け通りに夕飯の準備に入ることにしました。

ところが、いくら待っても姉は下に降りて来ません。初めは部活で疲れたのかと思っていましたが、二階にいくら呼びかけても何の反応もなく、辺りは無音です。

次第に不安になってきた私は、姉が疲れて眠ったのだと思い込むことにして、リビングに急いで戻りました。

食欲もなくなり、テレビを大音量で見ながら、ひたすら姉が降りて来るのを待っていました。いえ、もう祈っていたと言う方が正しいです。

それから更に30分ほど経つと、願った通り姉は来てくれました。

玄関から。

全身ずぶ濡れの状態で息を切らせながら。                     私の頭は当然混乱しました。恐る恐る姉に、30分程前に家に帰ったか、それからまた出かけたのか、など尋ねると怪訝な顔をされました。

姉曰く、たった今部活から帰った。雨が激しい中必死で帰ってきた。暴風雨の中、二度も出かけるわけがない、馬鹿か。

とのことでした。

鍵がかけられていたので家に入れる人は限られます。

あの後すぐに家中探しましたが、泥棒が入った様子もありませんでした。

誰に話しても勘違いだとしか取り合ってくれませんでしたが、今でもあれは見間違いではないと思っています。

以上が私が唯一体験した怖い話です。

付き合ってくださってありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん

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