.....まず知っておいて欲しい事は俺はたまに見えてしまうことがある
見えたからといって解決できる力なんてない。
出来るだけ無視だし自分から関わることなんてしない。
それに霊だって気をつけて運転してる車を事故らせたりするのは難しいんだ。飲酒だったりよそ見だったり、魔が射す隙をつくると狙われやすくなる。
地元で事故の多い交差点ではババァの霊がいる....三人同じ姿をした顔まで同じババァだ。
通勤でよく通るのだが、この前は携帯に夢中な若者の車の屋根に一人いて周りを伺い、一人のババアは助手席からハンドルを固定、最後のババァは後部座席から若者の首を携帯に向けるよう押さえ込む形だ。
信号待ちで先頭の俺の目の前でガードレールに串刺しだ....屋根のババァは笑っていた。凄く嫌な光景だが、魔が射す隙を作った若者も悪いんだ。
前置きが長くなったがここからが本題。
なるべく無視を貫く俺だが関わらなくてはならなくなった時の話だ.....結末は少し悲しいものになるので嫌な人は見ないように。
俺にはゴミ屋(産業廃棄物)で働く小学生からの友人がいる。もう結婚しているのでY夫婦とする。仕事でゴミとしてでたものを持ち帰ったりもするのだが、スーパー等ででる賞味期限が数時間きれたような物なら構わないが、Yが家の解体業者に呼ばれて解体後にもちかえったゴミの中の戦利品が問題だった。
家の解体後にはたまに金とか古銭とかが見つかるらしいのだが、それっぽい箱を見つけ持ち帰ったのだ。
で俺はちょっと賞味期限ぎれヤキソバパーティーに招かれたときに見てしまう。
アパートのドアを開けた瞬間、背筋を貫く悪寒!
....来たばかりで帰るわけにもいかずリビングのドアを開ける。
笑顔で俺を迎えてくれるY夫婦.....の頭上には鼻から上しかない目のツリ上がった子供の顔が浮いていた...子供というより赤子だと思った。拳より少し大きい位だったからな。
普段は他人が困ろうが関係ないと思っている俺だが血の繋がりは無いが友人だ。去年に結婚そして今年中には子供が産まれるYの近くにこんなもの置いてはおけない。
酒の力もかりYに駄々をこねまくり戦利品を持ち帰った。
Y「ガッチリ溶接してあって開けんのめんどくさいからいいよ!」
だってさ.........めんどくさいのはオマエじゃ!って言いたかったが抑えた。
ちなみに俺が見えるタイプだとは誰にも言ってない。
近いので徒歩で帰宅後、酒の力も手伝ってか本当は恐怖に怯える所だが、冷静に箱を観察、解体時に荒っぽく扱われたのかボコボコだ。
よく見ると溶接に隙間が出来ていた。
これを埋めればなんとかならないか?....色々と考え込む間にも顔は俺の頭上で俺の部屋を観察しているようだ。
お互いの住家を覗き合うこと一時間.........寝てた。
翌日、奴はまだ部屋観察してるようだったのでいっそのこと部屋を解約、置き去りにしてやろうかとも考えたが敷金、礼金、金銭面の諸事情で断念。近所の寺に向かった。
境内に入り次第、坊さんが声を掛けてくる。
なんて物を持ち込んでくれたんだと怒鳴られた。
その徳の低い坊主いわくおまえの持っている箱は呪いの品だと........
確かにY夫婦の家ではヤバイ感じはしたが俺が持っている分にはなんの悪意も感じない。
ほぼ門前払いをくった俺はムカつきながらもどこへいけばいいか教えてもらい他県ではあるが寺に向かった。
行きの車中でもずっと車内観察....寺につくとゴツイ坊さんが話を聞いてくれた。
確かに非常に強力な呪いの品だという。
ただし俺には害はないから心配いらないと教えてくれた。
どうやら住職さんらしく連絡を受けて待っててくれたようだ。
何故俺には害がないのか教えて貰った.......正確には解らないが古いものであること.....中国で作られた呪いであること......中国の山間部で民族同士の争いから生まれた呪いで争う二つの民族は土地の縄張りでもめていた。その片方の民族は子供を増やして数で縄張りを拡げようとしていたが、民族間での血の配合を繰り返す内に知能障害やツリ目の奇形児が産まれるようになり、民族の長は使えない子供は殺していたそうだ。
しかし余りにも多いために長は呪いを込めるために産まれたばかりの奇形児の首を鉈で切断、さらに鼻から下を鉈で切断しそれぞれの木箱にいれて
相手の縄張りの木に頭側は上のほうに縛り付け、鼻から下を根元にうめたそうだ。
すると木は実をつけなくなり枯れ果てて、人間の住める土地ではなくなったそうだ.........放置された呪いは妊婦の胎児を襲い羊水を腐らせ死に追いやる。
二つの民族にもう子供が産まれることはなく土地と共に果ててしまったそうだ......
後に掘り起こされた箱の呪い漏らさない為、鉄の箱を溶接し誰も開けられないようにした物がコレだというのだが......元はY夫婦の所から持ち出したのだ......Yの奥さんは無事ですむのか...
事情を住職に話した所、分からないのだという、昔は即座に影響がでるほどの呪いだったらしいが時が和らげてくれているのを祈るしかなないとのこと....
住職に箱を託し地元に戻った。
あの子は帰り際に寂しそうに俺を見ていたが、やはり悪意は感じられなかった.............
今月Y夫婦に子供が産まれた.....俺にはあの子の面影が見えたよ
でもYはもともとツリ目だし、Y夫婦は本当にいい奴らだから大丈夫だ!改めておめでとう!!
Y達の愛情に満足したら成仏してくれよ。
......住職も呪いに関わったのなら祈るしかないと言っていたし、子供に虐待などしなければ呪いの破片が牙をむくことは無いとの事...............あとはY夫婦の子供に対する愛情ににまかすしかないのだろう..
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話