ある動物実験。
指を自在に動かせるのは、脳がそれぞれの指を別々のものとして認識しているかららしい。
では脳が、指が五本で一つの物だと認識したら?
ある動物実験で、その動物に何度も地面を叩く動作をさせる。
中途半端な数ではない。
ほとんど休みなく、三日中行う。
するとその動物は、指を別々に使う動作ができなくなってしまったのだ。
体中が痛む。
息をするたび血の匂いがするのは、口の中が切れているからだろう。
俺は捕虜として捕まり、今は敵軍の収容地にいる。
仲間のうちの何人かと出会ったかが、彼らの末路は皆悲惨なものだった。
血液を一つ残らず抜き取られた者。
全身を凍傷のような状態にされたもの。
病原菌を体内に入れられ、のたうちまわりながら死んだ者。
それらはすべて、敵国の人間が、実験のために行ったことだった。
俺はどうなるだろう。
彼ら同様無残な死を遂げるのだろうか。
「××、中へ入れ」
その声に従い、扉を開け、奥へ進んだ。
そこにはパイプ椅子と、少し大きめのテーブルがあった。
「今からこのテーブルを三日間、叩き続けるんだ。
休憩は一日五回。
食事は他のものに運ばせる。
排泄は・・・そこにしろ」
まるで拷問だ。
テーブルを叩く力をどう加減しても、ひりひりと手の平が痛む。
そしてだんだん感覚が鈍ってきた。
おかしな感じだ。
手を開いたり、握ることはできるが、それ以外の動作は一切できない。
まるで赤ん坊の手だ。
だが続けなければならない。
それが指示なのだから。
俺は何度もテーブルを叩く。
何度も、何度も。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話