俺「その写真、燃やすの?」
Aがピラッと写真を裏返して見せた。一枚一枚に達筆な文字でなにやら書いてある…読めない。
A「親父も少しは気にかけてるんだよ。これで少し位はなんとか心が和らぐんじゃないかって、書いてくれたんだ」
俺「お経?お札みたいなもの?」
A「いや、実にありがたーい言葉が書いてある…読めない」
そう言いながら、なにやら鞄からゴソゴソ取り出した。出て来たのは空の一斗缶
俺「公園で火を焚いてはいけません」
A「投稿長文だ。気にすんな」
軽く歩き回って枯れ枝や落ち葉を集めて缶に突っ込む。Aはトイレで空のペットボトルに水を汲んでいる。大五郎だ。
ぼーっとそれを眺めながら俺は考える。ハンチングが成仏出来なかったのは気掛かりではある。でも、それでAを責める訳にもいかない。
A兄やBさんに頼んであそこ(廃病院)に乗り込んで払ってもらう? 漫画やアニメのヒーローじゃあるいし、彼等がそこまでする理由は無いだろう。
だからもう、俺らに出来る事は何もない。すべて終わったんだ。引っ掛かってた疑問もこれで全部…あれ?
A「くそっ!水、重いよ。ドンにすればよかった!黄桜の!」 …同じだろ
俺「なあ、なんで受け入れろなんだ?」 俺の最後の疑問だ
A「ハァ?」
俺「彼はハゲを隠してた。受け入れて無かった。お前には言った…受け入れろって」
A「知らん。知る由もない」そう言いながら火をくべると一斗缶の中が赤く燃え上がる。
俺「なんか意味あんのかなって思って」
パチパチと小枝の弾く音がする パチパチ「パチッパチッ」パチパチ…
ラップ音だ!確かに火とは違う位置、Aの方、ちょうど頭の上の方から聞こえた!しかも2回続けて!Aは気付いて無いのか?
A「ハンチング、わけ判らん事言って、ハ、ハハ、俺、すべて受け入れてるし、秘密ないし」
その瞬間!
「なんでやねん!」 スパパパパパパーン 公園中に大きな音が響き渡った
A「ちょ、何すんの!」
俺「え?」
A「え?」 Aの頭が落ちる 頭?首!?
ボトン、 漆黒の塊が一斗缶の縁に落ちる。
ドサッ そして綺麗に一回転すると炎の中に消えて行った
俺「…してやられたな」
A「……たな」
俺「……日が暮れたな」
A「……暮れたな」
俺「なあ………頭、寒くないか?」
A「…ああ、なんか持って無い?」
俺は鞄から買ったばかりのハンチング帽子を取り出すと、そっとAに渡した。
おわり
怖い話投稿:ホラーテラー なみすけさん
作者怖話