俺が高校の時、俺たちの出身校K中学での話。
中学時代からの友人Tが話しかけてきた。
「K中学が大変らしい」
弟(中3)から聞いた話だそうだ。
「授業中、突然奇声をあげて教室内を歩き回ったり外に出て行ったり
騒ぎまくってガラスを割ったり、廊下で寝たりしてるらしい」
「『加藤優』かよ」
俺はその時そう思った。
実際、九州の片田舎で
まさに『ビーバップ・ハイスクール』と同じ格好(校則で坊主だったが)をしていたし
下の学年は特に悪坊がそろっていた。
が、他校の生徒と喧嘩するとか 先生に殴りかかるとか
窓ガラスを割ってまわるとかは全くといっていいほどなかった。
2学年下までの後輩の内、悪そうな奴はたいてい顔を知っていたので
「そんなに荒れとるん? アイツ等そこまでひどかったっけ」と思ったが
そうではないらしい。
K中学は田舎とはいえ、町内唯一の中学校で生徒数は多く
各学年8~9クラスあって、真面目な生徒も多数いたが
その真面目な生徒も含めての行動だそうだ。
最初はクラスのうち何人かが授業中に突然外に出て行ったり
休み時間に廊下で寝そべっている位だった。
先生も注意したり、叱ったりしてたようだが
収まるどころかだんだん人数が増えていった。
行動もだんだんエスカレートしていき
授業中、クラスの半数以上が歩き回ったり
男女問わず廊下のいたる所で爆睡していたり
トイレの個室(和式)で便器に足を突っ込んだまま寝ていたり
窓に頭から突っ込んで行ったり
2階の窓から飛び降りたり
何人かは3階から飛び降りたらしい。
(下が植え込みで 皆骨折ですんだようだが)
きっかけは 『コックリさん』。
最初は何人かがやり始めた『コックリさん』が爆発的に流行ったらしい。
4~5人ずつのグループがあちこちに出来てクラスのほぼ全員がどこかの
グループに入って。
それが全学年、全クラス。 休み時間の度に取り憑かれたように繰り返してた、と。
で、最終的には祈祷師みたいな奴に来てもらって全校集会でお祓いをして収まったとのことだった。
まあ、『取り憑かれた』とか『祟られた』のではなく
集団暗示みたいなやつだと思う。
お祓いも、『祓った』という逆暗示だろうし。
俺も『コックリさん』はやったことがあるし、わざと動かしたり指を離したりもした。
奴等も同じようにわざと動かしたりしたんだろう。
で、そのうち変な行動する奴で出てきて、それを『憑かれた』と思い込んだ奴等が
「自分もふざけてルールを破ったから『憑かれる』かも」って暗示に掛かっていったんじゃないかな。
でもそんな暗示くらいで窓ガラスに突っ込んで行ったり、3階から飛び降りたりって、
それはそれで怖い。
怖い話投稿:ホラーテラー 銀狼さん
作者怖話