初投稿です。
長文になるとは思いますが、私が実際に体験したことを綴りたいと思います。
長文・乱文に加え、あまり怖くないとは思いますが、お時間がある方がいればぜひ最後までお付き合い下さい。
今から10年ほど前の話。
私が在住する福岡県I市に○○記念病院という救急病棟があります。
ここに交通事故が原因で救急車で運ばれ入院することになりました。
怪我自体は腕の骨折だけでしたので大したことはありませんでしたが、骨折した場所が関節だったこともあり、手術を要する為、入院という運びになりました。
手術も無事に済み、約1ヶ月ほどたって腕は順調に回復していました。
ただ、自由に動かせるようになるにはまだ早く、毎日辛いリハビリをしていたのですが、足は自由に動かせることと、まだまだ精神的にも20代で若いということも重なり、どうしても夜間21時の消灯に体が付いていけませんでした。
その為、深夜は携帯やゲーム、本を読んで過ごす時間と化していました。
私は6人部屋の一角にベッドを準備して頂いていたのですが、病院内の消灯後に電気を点けているとどうしても周りの患者方に迷惑が掛かる為、最初は同じ階数の休憩フロアーに居座っていました。
もちろん周りは消灯の為、暗いのですが、自販機が設置されている為、その周辺は明るくゲームや読書などができる光量がそこにはあったからです。
しかし、場所的にナースステーションの横だったこともあり、看護師さんが通る度に毎回注意を受けることから、次第に億劫となり、どこか他に良い場所がないかと探していました。
よくよく観察すると1階下のフロアーは入院患者はおろか、看護師さんなど誰もいない為、何ら違和感を覚えることなく、いつからか2階に居座るようになったのを覚えています。
ちなみに私が入院していた部屋は3階であり、外来などは1階、4階も入院部屋はあるのですが、4回は個人部屋や少数部屋であったのを覚えています。
では、2階はどのようなフロアーなのかというと、入院部屋やナースステーションも3階同様存在しているにも関わらず、全く使われていないのです。
しかし、このときはそのような事態に直面しても、単に何らかの都合で3階を使うのが都合良く、看護師も不足しているのだろうと簡単に考えていました。
あのときまでは…。
最初に違和感を覚えたのは2階で居座るようになった3日目でした。
2階の休憩フロアー内に設置されている自販機前でいつものように読書をしていたのですが、後ろをふいに誰かが通った気がしたのです。
何ていうか、人が通ったら微風が発生し後ろ髪がひかれるというか、ちょっと表現しにくいのですが、そのような感覚です。
反射的に後ろを振り返りますが、当然そこには誰もいなく、気のせいかと思っていたのですが、その日だけでこのような現象が3度も続きました。
しかし、そのときまではまだまだ余裕がありました。
次の日もまた次の日も、似たような違和感は多少あるものの、実際に姿が見えるわけでもなく、次第に慣れてしましました。
でも、これだけでは済まなかったのです。
2階でいつものように読書をしていた際、シーンと静まり返ったフロアー内に「カツッカツッギー、カツッカツッギー」という足音と共に何かを擦るような音が途端に聞こえてきました。
最初は3階かなと思ったのですが、音のする方が明かに近いのです。
これは違うと分かった瞬間、一気に青ざめました。
わずか2~3m先でハッキリと異音がするにも関わらず、何も見えないのです…。
しかし、そこには明かに何かが存在しています。
目は点になり、体は金縛り状態にあるのか、全く身動きがとれません。
これから先、何が起こるか分からない恐怖に耐えながら必死に音のする方を凝視していました。
すると、私がいた休憩フロアーの目の真ん前にエレベーターが設置されているのですが、足音がその前まで到達した瞬間、エレベーターのランプがポツと押されたのです。
このとき、まだ体は自由にできず固まったままでした。
どれくらい時がたったのか、恐らく10秒から20秒位だと思いますが、呼び出されたエレベーターがチーンと開き、閉まった後、1階へ向かって降りていきました。
その瞬間、体が自由に動けるようになり、急いで3階の自分が入院していた部屋に駆け込み、ブルブル振るえながら布団に潜り込みました。
いっときは先ほど見えなかった何ものかが、寝てしまうと襲ってきそうな気がして寝れなかったのを覚えています。
しかし、それほど怖い思いをしたにも関わらず、いつの間にか寝てしまい、気が付くと朝になっていました。
人間不思議なもので、明るいと冷静になれ、もともと心霊などの類を全く信じていなかったことも重なり、昨日の出来事は
全て夢でなかったのか、あるいは怖いという思いがそのような幻を見せたのではないかと日を追うごとに考えられるようになりました。
3日もすれば完全に怖いという思いが見せた幻だと心の整理が付き、そう考えると馬鹿馬鹿しくなった私はしばらく夜間おとなしくしていたこともあり、暇な時間を持て余していた為、消灯時間後、再び2階のフロアーへと足を向わせました。
読書から1時間ほどが経ち、やはり何も起こらないなと鷹をくくっていた頃、急に小さい方がしたくなったこともあり、同じ階に存在するトイレへと駆け込みました。
トイレは当然真っ暗であった為、入り口すぐ横にある電気を点けて用を足していると、またあの嫌な音が突然聞こえてきたのです。
「カツッカツッギー、カツッカツッギー」と…。
やはり、幻なんかではなかったと気付いたときにはもう遅すぎました。
やがてその異音はあろうことか私が用を足しているトイレへと徐々に近づいてくるのが分かります。
このときその見えない何かが入ってくる前に必死に逃げようともがいていましたが、体は金縛りにあい、どうしても動かすことができませんでした。
思いとは裏腹にやがて、その異音はトイレ内へと入ってきました。
その瞬間、見えてしまったのです。
何と「ギー」という音は点滴を引きずっている音でした。
また、その足音の正体は全身に怪我をしているおじいさんであり、手の肘辺りからは骨が尽き出していて、顔は血まみだったのを強く記憶しております。
頭が真っ白状態の中、そのおじいさんは点滴を左手に持ちながらゆっくりと私の横に構え、用を足す準備をしながら、私の方を向きました。
その瞬間完全に気を失いました。
気付いたのは午前0時過ぎ、私が入院していた病院はちょうど0時に看護師さんが見周りをするのですが、そのときに私が部屋に居なかった為、看護師さん全員で必死に探し2階のトイレで見つけたのだそうです。
当然その後は3階のナースステーションで尋問攻めにあい、何で2階にいるのか、何故トイレ内で倒れているのか、根掘り葉掘り聞かれましたが、私が体験したことを素直に告げるとその場にいた看護師3名全員が口を閉ざしました。
しばらく沈黙の後、その看護師内のリーダー格の人からこの話は決して誰にもしてはいけないということ。
また、過去にそのような事件が頻発した為、奇妙な噂が広がり、あえなく2階は封鎖したこと。
さらに、今でも誰もいないはずの2階から頻繁にナースコールが鳴って困っていることを聞くことができました。
それからは当然、夜間に限らず昼間でも必要なとき以外は極力近寄らないようにし、無事に1ヵ月後退院することができました。
ちなみにこの病院は今もなお存在しています。
この体験以後、私はいわゆる見える人になってしまい、頻繁に霊体験をするようになりました。
その話はまた改めて綴らせて頂きたいと思います。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
怖い話投稿:ホラーテラー ビビリ屋さん
作者怖話