続きです。
「何で......」
Wの目から、ぽろぽろと涙が零れた。
(お母さんは、俺を信じてくれるどころか、俺が嘘をついてるって疑ってるんだ...........俺が............嘘を.............)
とうとうWの心がぶっ壊れた。
「うわーーーー!!!」
「!どうした......」
「何で!どうして!!何で何で!!!俺は、本当の事を言ってるだけなのに!!どうして誰も!!誰も信じてくれないんだ!!!!」
「W!!いい加減にして!!どうして本当の事を言ってくれないの!そんなにお母さんが信じられないの!!」
「信じてくれないのはお母さんの......」
お母さんのほうだろ!
そうWが言おうとした時だった。
Wは突然、背後からまとわりつくような視線を感じた。
「えっ......」
まさか....嘘だ....
Wの頭の中は混乱した。
そんな、あいつは家の中に居ないはずだ。
Wの体から、滝のように汗が出た。
体がどんどん震え始めた。
Wは、見たくない、という気持ちを抑え、ゆっくりと後ろを振り返った。
あいつはそこにいた。
真っ黒の、二次元のように厚さの無い体。
目と口だけの、不気味な顔。
間違いなく、あいつだった。
にたにた笑いながら、こっちを見ている。
(そんな.......)
Wは絶望した。
(家の中は、唯一安心できる場所だったのに...........)
Wは力なくその場にへたりこんだ。
「W!?どうしたの?」
母親が驚き、声をかけたが、Wにはまるで届いてなかった。
その時だった。
母親の方から、母親のとは違う、別の何かの視線を感じた。
「っ!!」
Wは反射的に母親の方を振り返った。
母親の後ろにもう一体のあいつが居た。
家の中に、二体のあいつが居る。
(えっ!何で!どういう事!)
Wは完全にパニックになった。
「W!?どうしたの!?W!!?」
母親は何が起こったのか分からず、ただただWに尋ね続けた。
だが、Wはそれを無視し、家の外へと目を向けた。
なんだよ...........これ............
Wの目に映ったのは、彼にとってはまさに地獄だった。
Wの家に面している道路には、いたる所にあいつがいた。
道路の真ん中に立っているもの、電信柱の影に居るもの、向かいの家の前に居るもの...........
家の中から見ただけでも、少なくとも四体は居た。
(あいつが、増えた!?)
Wは恐怖するよりも、ただただ驚愕した。
母親がなにかを言っているようだったが、そんな事はどうでもよかった。
「あはははははははははははははは!!」
「!!?」
家の中に居る二体、外に居る四体あいつら全員が、Wの方を向き一斉に笑い始めた。
そこでWは、我に返った。
頭に響くあいつらの笑い声。
まとわりつく大量の視線。
心の奥から恐怖が湧き上がった。
「わーーーー!!!!」
Wは悲鳴を上げ、二階にある自分の部屋へ走り出した。
「ちょっとW!!?」
母親の声など聞こえなかった。
Wは急いで自分の部屋に入ると、カーテンを閉め、外が見えてしまう所全てを遮断した。
だが、笑い声は響くままだった。
幸いな事に、自分の部屋の中にはあいつらはいなかった。
(もう、だめだ。この部屋から出れない...........誰か............助けてくれ............)
Wは心の中で助けを呼んだ。
本当にすいません。これで終わる予定だったのですが、実力不足により、まとめ切れませんでした。
次で必ず終わらせるようにしますので、呆れず見守ってください。
怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん
作者怖話