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中編3
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幻視鏡 其の六

続きです。

突然何体にも増えたあいつら、家の中ももう安全じゃない。母親には疑われる始末。

(誰か.....助けて........)

Wは心の中でそう叫んだ。

この日を境に、Wにとって地獄のような日々が幕を開けた。

その日の夜。

Wは部屋にこもったまま、夕飯の時間になっても出てこなかった。

「Wーご飯よー、Wー!.......何があったのかしら......」

母親はWに何が起きているか分かっていない。

Wは一人、ベッドの中でうずくまっていた。

Wは窓のカーテンを少しめくり、ベランダ越しに外を見た。

家の前の道路にはやはりあいつらがいた。

にやにやとこちらを見ながら笑っている。

さらにWは、自分の部屋の扉を少し開け、部屋の外を確認した。

「うわっ!!」

Wは思わずのけぞった。

部屋のすぐそばにあいつは立っていた。

まるで開くのを待っていたように、そいつは少し開いた扉のすきまからこちらを覗き込んだきた。

にたにたと笑いながら。

Wはすぐに扉を閉めた。

(これじゃまるで、監視されてるみたいじゃないか!!)

Wはまた絶望した。

(俺は二度とこの部屋から出れない...............)

そう思うと、余計に絶望してしまった。

Wの心には、最早恐怖と絶望しか残ってなかった。

そしてWは、いつの間にか寝てしまった。

Wは夢を見た。

自分の周りにあいつらが円のようになり、中心にいる自分を指差し、大声で笑ってくる夢。

それはとてもリアルで、夢の中でもWは、あいつらの笑い声、視線に苦しんでいた。

「わーーーっ!!!」

Wは叫び起きた。

「どうしたのW!!」

叫び声を聞き、母親が部屋に入ってきた。

「だめ!開けないで!」

母親の後ろには、あいつが立っている。

Wは母親を部屋から出すと、すぐに扉を閉めた。

(お母さんとも、普通に暮らせない..............)

Wは泣いた。

ただただ泣いた。

次の日からWは、ずっと部屋にこもったままの生活を始めた。

少しでもカーテンが開いたり、外が見えたりすると、あいつらがこっちをにたにたと見て来る。

その度にWは過剰なほどに反応し、急いで外が見えないようにした。

食事は一日二回、母親が扉を少しだけ開け、こっそりご飯を部屋に入れる。

排泄の時だけ、Wは部屋の外に出る。

あいつの事は出来るだけ無視し、トイレへ行く。

あいつに対して、体が勝手に反応するようになり、あいつがいると、ガタガタと体が震えた。

精神的にも、あいつに見られると、かなりのストレスをWは感じていた。

夜も眠れなかった。

寝てしまうと、またすぐあの夢を見てしまう。

だからWはなるべく寝ないようにした。

こんな生活をWは何日も続けた。

Wは肉体的にも、精神的にも少しずつ、少しずつ壊れていった。

そしてとうとうその日が来た。

その日の早朝、Wはベッドにもたれかかったまま、死んだように静かにしていた。

その目は、多くのストレス、疲労、恐怖からか、本当に死んだように、輝きを失っていた。

Wはこんな事を考えていた。

(こんな生活、いつまで続くだろうか............もう、まともな生活が二度と送れないなら...............死んでしまおうかな..............)

Wに限界が来ていた。

その時だった。

「じゃあ死んじゃえ。」

「え....」

どこからともなく聞こえてきた声。

Wには聞き覚えがあった。

「辛いんだろ....死ねば楽になれるぞ。」

「うそだ...........」

口では言っていても、Wはこれが嘘じゃない事が分かっていた。

あいつだ......!

それは確信に変わった。

部屋の中にあいつが現れた。

本当に申し訳ありません。次で終わらせると前に言ったはずなのに、勝手な理由ですが、時間が無くなってしまい、続きを書けなくなってしまいました。

次こそ必ず終わらせますので、どうか呆れず見てほしいです。

続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん  

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