続きです。
突然何体にも増えたあいつら、家の中ももう安全じゃない。母親には疑われる始末。
(誰か.....助けて........)
Wは心の中でそう叫んだ。
この日を境に、Wにとって地獄のような日々が幕を開けた。
その日の夜。
Wは部屋にこもったまま、夕飯の時間になっても出てこなかった。
「Wーご飯よー、Wー!.......何があったのかしら......」
母親はWに何が起きているか分かっていない。
Wは一人、ベッドの中でうずくまっていた。
Wは窓のカーテンを少しめくり、ベランダ越しに外を見た。
家の前の道路にはやはりあいつらがいた。
にやにやとこちらを見ながら笑っている。
さらにWは、自分の部屋の扉を少し開け、部屋の外を確認した。
「うわっ!!」
Wは思わずのけぞった。
部屋のすぐそばにあいつは立っていた。
まるで開くのを待っていたように、そいつは少し開いた扉のすきまからこちらを覗き込んだきた。
にたにたと笑いながら。
Wはすぐに扉を閉めた。
(これじゃまるで、監視されてるみたいじゃないか!!)
Wはまた絶望した。
(俺は二度とこの部屋から出れない...............)
そう思うと、余計に絶望してしまった。
Wの心には、最早恐怖と絶望しか残ってなかった。
そしてWは、いつの間にか寝てしまった。
Wは夢を見た。
自分の周りにあいつらが円のようになり、中心にいる自分を指差し、大声で笑ってくる夢。
それはとてもリアルで、夢の中でもWは、あいつらの笑い声、視線に苦しんでいた。
「わーーーっ!!!」
Wは叫び起きた。
「どうしたのW!!」
叫び声を聞き、母親が部屋に入ってきた。
「だめ!開けないで!」
母親の後ろには、あいつが立っている。
Wは母親を部屋から出すと、すぐに扉を閉めた。
(お母さんとも、普通に暮らせない..............)
Wは泣いた。
ただただ泣いた。
次の日からWは、ずっと部屋にこもったままの生活を始めた。
少しでもカーテンが開いたり、外が見えたりすると、あいつらがこっちをにたにたと見て来る。
その度にWは過剰なほどに反応し、急いで外が見えないようにした。
食事は一日二回、母親が扉を少しだけ開け、こっそりご飯を部屋に入れる。
排泄の時だけ、Wは部屋の外に出る。
あいつの事は出来るだけ無視し、トイレへ行く。
あいつに対して、体が勝手に反応するようになり、あいつがいると、ガタガタと体が震えた。
精神的にも、あいつに見られると、かなりのストレスをWは感じていた。
夜も眠れなかった。
寝てしまうと、またすぐあの夢を見てしまう。
だからWはなるべく寝ないようにした。
こんな生活をWは何日も続けた。
Wは肉体的にも、精神的にも少しずつ、少しずつ壊れていった。
そしてとうとうその日が来た。
その日の早朝、Wはベッドにもたれかかったまま、死んだように静かにしていた。
その目は、多くのストレス、疲労、恐怖からか、本当に死んだように、輝きを失っていた。
Wはこんな事を考えていた。
(こんな生活、いつまで続くだろうか............もう、まともな生活が二度と送れないなら...............死んでしまおうかな..............)
Wに限界が来ていた。
その時だった。
「じゃあ死んじゃえ。」
「え....」
どこからともなく聞こえてきた声。
Wには聞き覚えがあった。
「辛いんだろ....死ねば楽になれるぞ。」
「うそだ...........」
口では言っていても、Wはこれが嘘じゃない事が分かっていた。
あいつだ......!
それは確信に変わった。
部屋の中にあいつが現れた。
本当に申し訳ありません。次で終わらせると前に言ったはずなのに、勝手な理由ですが、時間が無くなってしまい、続きを書けなくなってしまいました。
次こそ必ず終わらせますので、どうか呆れず見てほしいです。
続きます。
怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん
作者怖話