…お香の匂いがきつい。
Aの長い髪が俺の腕をくすぐる。
Aの息遣いが聞こえてきそうなほど近い。
先ほどの摩訶不思議な出来事なんて忘れてしまいそうだ…
俺は夢を見てるのか?
そう思っていた時腕に痛みが走った。
!!!
腕を見ると血が流れている。
Aはどこから持ってきたのかあの気持ち悪い人形で俺の血を拭っていた。
「何してんだ!!!」
俺は夢から目が覚めたようにふらふら立ち上がり腕を見る。
傷はたいしたことなさそうだ。
Aは満足気な顔をして俺に天使の笑顔を向けた。
「これは貴方の悪い分身」
「あとは貴方の髪の毛をこの子の中に入れてね」
そう言うと人形を差し出した。
俺は心霊現象とかUFOとかそういう世界は全く信じない。
けどこれは一体何なんだ。
頭の中でBが言ってた台詞を思い出す。
「…あんな奴に深入りしてヤバクネ?」
…お香の匂いがきつい。
俺は渡された人形を見た。
Aの机にあった人形とは少し違う。
「…ごめん。俺帰るわ」
Aは窓から外を眺めていた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話