教師が口をパクパクさせながら黒板になにか熱心に書いている。
机の上の教科書はさっきからずっと同じページのままだ。
チャイムが鳴ったと同時に俺は教室を出た。
自慢じゃないが俺は授業をさぼったことは一度もない。
だからどこに行けばいいか皆目検討がつかない。
考えた挙げ句結局いつもの寂れた神社に来た。
空を見上げると真っ青で雲ひとつ無い。
ここは大きな道路から離れているし滅多に人が通らないのでとても静かだ。
風が吹き木の葉がゆれる。
時が止まったような気分になれる。
クスクス。
振り返らなくても分かった。
「…ねぇ、君の望みは何?」
Aは答えず俺の横にちょこんと座り砂をいじり始めた。
風が吹き木の葉がゆれる。
俺はポケットから人形を取出しカッターナイフで腹の部分に切れ目を入れた。
そして…髪の毛を抜き突っ込んだ。
「…これでいい?」
Aは停止ボタンを押したかのように止まっていたがみるみる笑顔になっていった。
その時木にとまっていた鳥達が一斉に飛び立った。
真っ青な空が一瞬真っ暗に感じられるほどたくさんの鳥。
Aは立ち上がり両手を広げ何かを呟いている。
腰まである長い髪が風に揺られとても綺麗だ。
「お前ら何してんだよ!!!」
Bだ。
「悪い。後で話すから今日は勘弁してくれ…」
言いおわらないうちに俺が持っていた人形をBは取り上げた。
そして踏みつけ放り投げた。
俺の意識はそこで途絶えた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話