先日キツネ様の「家系」を投稿したものです。
前回皆様から好評を頂いてありがとうございました。
そのお礼を込めてひとつ
僕自身はキツネ様の加護があるようで霊の類は全く見ません。ただ、神様や精霊のような存在は感じます。
ばあちゃんが言うには変な霊など跳ね除けるし、怖くて近付けないらしいです。
ですから僕の話はもうありません。
今回はばあちゃんに聞いた話です。
ばあちゃんは人から相談を受けたりはしますが、お金取ったりはしません。
たまに無料でアドバイスしたり、払ってあげたりしてあげてます。
ラスト陰陽師とかスピリチュアルなんたらとかのイカサマMAXとは違う、全うな地元の拝み屋さんみたいなもんです。
では、
ばあちゃんが若い頃、まだ娘だった頃です。
じいちゃんはキツネ様に守られたここ島根の人だが、ばあちゃんは山陽の人。
棚田の広がる閑かなここと似た山中の生まれ。
その山中の田舎の村のある山間の集落では子供達だけに見える妖怪がいたそうな。
「めんてろけっぺ」
誰が名付けたかは分からないが、子供達の間でいつの間にか呼ばれた名前。
夕方になると時折現れる。
全身黄色で真っ白な一本の角。体型は鹿に似てるけど、半透明。
背中だけ鱗みたいなもんがあったらしい。
このめんてろけっぺなる妖怪が現れると次の日は必ず何処かよその土地から客人が現れるらしい。
大人には見えないが、村の子供たちは何人か見ている。
それは不可思議な事ではあるが大人たちも容認していた。
大人たちも幼少の時分に出現を楽しんだ者が何人かいて、微笑ましい存在だったから。
その土地の神主さんによると、
・ここの土地のモノではない。
・土地の力を吸って何年かしたら移動する
・いたづらが大好き。（稲を食べたり、狸を軒先に吊したり、田んぼに穴あけたり）
・悪い事、悪さをするが神様だから祓う事は不可能。ちゃんとメンキノカミって名前があるらしい。の部分は秘密らしい。名前を呼ぶのは良くない事だから知らぬがいいと。
・違う土地に移る時に縁をお返しにくれる。だから土地を吸われるのは我慢。祓えもしないし
・麒麟ってのが一番近いけど、似て非なるものらしい。
・最後に絶対に、怒らせてはならない
とまあこんな事らしい。
という事で幾年か経ったある時、ばあちゃんが成人を迎えようとした頃。
集落の若い衆が酒盛りをして、帰りに山道を通る。
めんてろけっぺがいる。
幼い時に見た時以外ずっと見てなかった妖怪。
なんだか嬉しくなった若者はめんてろけっぺに近づく。
今でいうならず者、またはDQNとかバカに属していた彼は何を思ったか捕まえようとしたらしい。
山道を歩く為にいつも縄と鉈を装備した彼は縄を投げつける。
ヒラリと躱される。はぐれメタルのようにそこにはいない。
仕方ないのでまずは弱らせてと考えて鉈を投げた。
次の瞬間
「許さぬぞ！許さぬぞ！人よ」
ブチキレさせちゃったらしい。
若者も初めて聞く妖怪の声と怒号。
さらに黄色だった身体が真っ赤になった姿にウンコを洩らしたそうだ。
一目散で逃げかえって、あわてて神主の元へ。
事情を説明すると、神主も真っ青になって、次には真っ赤になって若造を叱りつけた。
「バカもんが！
お前が罰を受けるのは仕方ないが、村の者を巻き込むな！
手を出すなと言いよったろうが！」
その後村を追い出された若造は大阪に逃げたそうです。
彼の友人は消息を知っていて、村ねみんなに後の事を後年語った事によると、
若者は逃げてからしばらくして失明したそうです。
さらに縁あって結婚したものの生まれた子供が三人。全て幼いうちに失明してしまったそうです。
その後この家族は空襲で死に絶えたそうです。
村はどうなったかって？
村はその集落一同でお詫びをし、祠を立てて怒りを鎮めてもらったそうです。
先日その祠見て来ましたよ。花がたくさん飾ってありました。
麒麟さんはいませんでしたが。
めんてろけっぺはしばらくして土地を移動したそうです。ですからここにはただ祠があるだけです。
ばあちゃんはこっちに嫁いで来てからもその神主とは交流があったそうで、色々情報交換があったようです。今は神主さんは亡くなってますから話が聞けないのが残念ですけどね。
なんでもその麒麟みたいな神様は京都方面の山に行ったらしいです。
しかしそれから年月が経過してるので、今はきっと違う土地にいるんだろうとの事。
どうも南部の方から来て、少しずつ東に向かってるカンジだそうです。
以上がばあちゃんの話してくれたお話です。
誰か目撃しても石投げたりしないで下さいね。
ちなみにこのめんてろけっぺは田んぼ、麻の葉、梅の木が好きだそうです。
そして刃物や鉄が大嫌いらしいです。
でわ
怖い話投稿：ホラーテラー 松葉さん
作者怖話