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ポーカーフェイスの御守り

短編2
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ポーカーフェイスの御守り

あるお店が在る。

俺は曰く付きなコレクション兼商品にまるで磁力に引き寄せられるように何度も訪ねてしまう。

そして今日も…

「やあ、いらっしゃい。

今日もコレクションを見たいそうだね。存分に見ていってくださいな」

この店は会員制だ。

会員になる条件は一つだけ、いつか商品を買う事。

いつになるかは、客次第だそうだ。

特典は好きな時に品物を閲覧できる。

ここは、そんな店。

いつ来てもここは飽きない。

来る度に新しい物があり無くなる物がある。

そんな中、汚れた御守りの前で足が止まる。

「店主、この御守りはなんですか?」

この店にあるという事は、なにか曰くが必ずある。

その話を聞きたくて何度も来てしまう。

「ああ、その御守りは…」

店主の話が始まった。

御守りの持ち主は15歳の女の子。

その子は苛められていた。ずっと前から。

笑えば気持ち悪いと言われた。

叩かれ泣けばウザいと言われ、さらに叩かれた。

怒ればムカつくと言われ、物を壊され無視された。

女の子はいつも思っていた。

どんな顔をしても結局は苛められる。

無表情でいれば苛められるが酷くはならない。

その内に飽きてくれると。おばあちゃんに貰った御守りを握りしめながら願っていた。

少しずつ女の子の願いが叶い始めた。

ひとつ、またひとつと表情が消えていった。

消えて行く表情の代わりに増えていく感情があった、それは憎しみ。

そして最後の表情である笑顔が消えた。

その日、女の子は自分を苛めていた四人を殺した。

とっくに死んでいるのに次の日に発見されるまでの間、12時間以上も死体を刺し続けていた。

無表情に…

発見された死体は刺されてない所がないくらいグチャグチャ。

特に顔は酷かった。

血と体液でミートソースのようだった。

拘束された女の子は泣くでもなく淡々と憎かったと言い舌を噛み死んだ。

舌を噛んで死ぬと普通は酷い顔になるが驚くほど無表情だった。

「その女の子が持っていたのが、この御守りです」

無表情に死体を刺し続ける姿を想像し背中に冷たい汗が流れた。

「無表情で在りたいという願いの籠った御守りです。貴方がお買い上げにならないよう祈ってますよ」

これは勘弁と思いながら礼を言い店をでた。

怖い話投稿:ホラーテラー 月凪さん  

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