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中編4
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少女A

あらかじめ言っておくと幽霊は出てこない。

高校2生の時、小学からの親友Hに彼女が出来た。

隣の高校のIという、同い年の可愛い系だった。

正直羨ましかったが、心の底から「良かったな!」と祝福してやった。

やっぱり彼女が出来ると、なかなか日曜日は遊ぶ事がなくなってしまった。

少し寂しい気もしていたある日曜の午後、Hが突然Iを連れて遊びに来た。

「おっ?珍しいなぁ、どうしたん?」

「いやぁ、Gにとっておきの情報があるんだなぁ」とにやけるH。

「何よ?勿体ぶらずに話せよ!」とHを軽く小突いた。

するとIが割って入り「K君彼女欲しくない?年上って好き?」

「!?」

一瞬Iの背後に後光が差したような気がする。

年上に憧れるお年頃の俺は

「カノジョホシイ…トシウエガスキ」と即答。

善は急げ?で早速会う段取りを付けてもらった。夕方喫茶店に現れたのはAという子。

Iの入っている茶道部の副部長で一つ年上の3年生で、飛び抜けて美人というわけではないが、セミロングで見た感じ大人しそうなメガネの似合うお姉さんだった。

服装はよく分からないが、白のブラウス?に黒いスカートのお嬢様っぽい感じ。

HとIに目配せで感謝しつつ、Aにアピール開始。

Aは天気のいい日に公園や森を散策するのが好きらしく、それを聞いた俺はとってつけたように

「俺も自然と戯れるの好き」発言でAの心をキャッチした。

その甲斐あって次の日曜、Aの手作り弁当を持って近場の小さな山にピクニックに行く事になった。

待ちに待った日曜日、小さいとはいえ一応山なので、動きやすい格好にスニーカーで待ち合わせ場所に向かった。

待ち合わせ場所に近づくと、なんかイケイケな格好した女が立っていた。

Aだ。

上下水色の服装にタイトなミニスカート、足元はヒール。おまけにコンタクトにしたのか、メガネはかけていなかった。

あれ?山に行くんじゃなかったっけ?と戸惑う俺を見つけると

「おっそ〜い、待ってたんだよ〜」と心なしか話し方も前回とは違う。

「山歩き…その格好で大丈夫なの?」と気を使うと

「大丈夫か大丈夫じゃないかはキ・ミ・シ・ダ・イ♪」と訳の分からないテンションだ。

少し不安を覚えた俺だが、Aの案内で目的地に向かった。(ヒール履き慣れない為か躓きながら)やっとのことで辿り着いた山を見て

「本当に登るの?」と心配になった俺が聞くと

「やっぱり止めた。今日は登らない」とキッパリ。

「はぁ!?じゃあ何のためにこんなとこ来たんだよ!」と喉まで出掛かった言葉を押し込め

「その靴じゃちょっとキツいよね」と言うとAは

「靴は関係ないんだけど…ほら、あそこ見て!岩の上に〇〇〇(忘れたけど花の名前)があるでしょ?」

見ると10mくらい先に紫の花が一輪置いてある。

「あれがある時は登っちゃ駄目の合図なの。無視して岩より上に登ると怖い目にあうのよ」

「合図?怖い目?」頭の中はちんぷんかんぷんだ。

「それよりご飯作ってきたからあそこで食べようよ」

Aは岩の先にある休憩所みたいなベンチを指す。

「?…でも岩より上に登っちゃマズいんでしょ?大丈夫なの?」と聞くとAは

「言ったでしょ?大丈夫かどうかは君次第って♪」

もう帰りたい…

正直訳わかんないし、山に登って怖い事が起きるよりもAと一緒にいる方が怖くなってきた。

「早く早く!」とベンチまで歩き出すAとそれに続く俺。

ベンチに腰掛けるとAは鞄からビニール袋を取り出した。

中には弁当箱があり、広げた物を見た俺は驚いた。

生卵がぎっしり詰まっている。それのみ。

かき混ぜていない目玉のまんまで、ついつい数を数えてしまった。

目玉は8個。いや、そんな事はどうでもいい…どうするのこれ?

固まっているとAは「ピクニックと言えばタマゴだよね♪」と満面の笑みを浮かべながらスプーンですくう。

そして…「はい、アーン」と俺の口元へ。

結局、全部俺の胃の中に収められた。

罰ゲーム?が終わりベンチで憔悴しきっている俺にAは「飲み物飲む?」と水筒のコップを差し出した。

とっても嫌な予感がした俺は丁寧に断り休んでいると、Aは煙草に火をつけた。

意外だったが、見ていると「あ、Iには内緒だよ私が煙草吸うなんて。G君も吸う?」と聞いて来たので、頷くとAはキスをしてきた。驚く俺の口の中に煙を吐きながら…

初めてのキスはヤニの味だった。

意識が遠のく俺…………

気づいた時Aの姿はなかった。

後日Iから聞いたのだが、Aはデート中俺が寝てしまったので怒って帰ったのだとか。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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