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死んだように生きる男 つづき

短編2
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死んだように生きる男 つづき

その母も最近定年を迎えた。

俺はこの先どうなっていくのか。長年ベッドの上で寝そべったまま、食事もまともにとらない俺は上体を起こしただけでも目眩がした。

テレビで年金欲しさに親の死を隠して不正に年金を受給していたひきこもりのニュースを見ることがあるが、俺もそうなるのかな。

時に働けと俺を罵る親父に殺意を抱くこともあるが、母が悲しむだろうと思い実行できずにいる。

俺の人生が75歳だとしたら、俺の人生はすでに半分は終わっている。

俺は何のために生まれてきたんだ?俺の人生のピークっていつだったんだろう。

幼稚園ぐらいは良かったかもな。イジメがなかったし。

俺が生まれてきたとき、両親は俺の誕生を喜んでくれたのか、想像すらできない。俺の下には年子の妹がいるし、その下にはまだ弟・妹がいる。俺が両親に自己主張をすることはなかったので、聞き分けのよいおとなしい子どもだと思われていたのだろうか?

長年ひきこもっていても性欲はなくならないもので、部屋の中には吸えた臭いのティッシュと、外に親父がいてトイレへいけなかったときの小便入りのペットボトルが散乱する。

そんな部屋で俺は自分の人生を呪った。

いっそ死にたいと思ったが、そんな勇気はなかった。強盗でも来て俺を殺してくれないだろうかとも考えたりもした。

部屋で待っていても強盗がやってくる可能性は低いし、それならと誰か俺を殺してくれるやつがいないかと、夜部屋を出ることにした。

田舎は街灯がなく、夜8時ともなるとあたりは真っ暗だ。人通りもない。

少しでも人がいそうな場所を求めて国道へと向かう。その時間、最終バスがちょうどやってきた。物陰に隠れて様子を伺う。バスからは学校帰りの女子高生が一人で降りてきた。

女子高生はなにも知らずにこちらへ歩いて来る。俺はフラフラと女子高生の前へと歩み寄った。

『…俺を殺してください』

と。

女子高生は顔をひきつらせて腰を抜かした。叫びたいが声にならない様子で。

『君に危害を加えるつもりはない。ただ俺を殺してくれれば…』

そう言って近づいたとき、女子高生が悲鳴を上げた。

そのあとは一目散に逃げ出した。

そして俺はまだ死ねずにいる。

まだ希望があるかもしれない。

きっと見つかるだろう。

俺を殺してくれる人が…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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