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中編4
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旧トンネルの怪

俺達の住んでいるK市のK町にある旧トンネル。

聞く話によると、戦時中に韓国人が日本人といざこざを起こして、トンネル内で殺害されたと言う。

それ以来、入り口で事故などもあったため地元の心霊スポットとされていて、坊さんらがお祓いにも来たらしい。

俺もあまり近寄らないようにしていたが、ある日の夜に酔った友人のEらが行こうと言い出した。

俺は始めは断固拒否していたが、Eは前にも一度通ったことがあるらしく、『何にもないから』と言われ半ば強引に連れてかれた。

普段はビビりなのに、おかしいとは思ったが口に出さなかった。

トンネルに着いたのは午後10時頃で、風で揺れる竹が異様な雰囲気を醸し出していた。

俺はこの時点で既にビビりこみ、絶対に行かないと言って車から降りなかった。

同じく、寺の娘で霊感は坊さんなどに比べてほとんど無い(人並みよりはある)Nが残ると言った。

Eはガッカリしていたが、他のBとIとSは行く気満々だった。

それじゃあ行ってくる、と言ってEがクルリとあっちを向くとき、少し笑っている様に見えたが、気のせいだと思った。

Eらはズンズントンネルの中に向かっていった。

…E達が完全に見えなくなってから5分程経った時だった。

急に助手席に座っていたNが突然ガタガタと震えだし、大丈夫か?と聞こうとした時、いきなり

「車のエンジンかけて!早く!」

と言い出した。

俺も悪寒が背筋に走り、すぐさまエンジンをかけた。

エンジンをかけてから数秒後、B達が走り込んできた。

俺「おい!?何があったんだよ!?」

B「いいから早く車出せ!!早く!!早く!!」

必死で叫ぶBの様子を見て、俺はすぐ車を動かす。

狭い道を通り抜けて、国道を走っている時に、少し落ち着いた様なので中での出来事を聞いてみた。

聞いた内容は俺を凍りつかせた。

B達がトンネルに入った後、Eが韓国人の事件について話始めたらしい。

「いざこざなんかじゃないんだ、軍人が悪かったんだ。あいつらは強制労働を韓国人は愚か、自国の農民にまでさせた。許せない、許せない、許せない!許さない、許さない、許さない!」

そう喋った後、1人だけ速足で行ってしまった。

懐中電灯を持っているのはEなので、B達はEに何かあったのかー!?と聞いたらしい。

しかし返事は無く、10秒程経った時、いきなりEが鎌を両手に持って何か叫びながら追いかけてきたと言う。

それでB達は怖くなって、走り込んできたと言うことらしい。

Bが話終わったと同時くらいにIが悲鳴を上げて気絶した。

サイドミラーを見ると、Eが凄い形相で追いかけてきている。

手には鎌。

俺は「ウヒィ」と恥ずかしい悲鳴を出したが、なんとか意識を保ち車のスピードを上げた。

俺は恐怖で震えながらも運転、B・Sは半泣き、Iは既に白目むいてのびていた。

すると、Nが鞄から人数分の縦に長い紙を取り出し、ちょっとゴメンね、と言いながら俺たちに貼り付けた。

直感的に、札とわかった。

そして俺達に説明する。

「その札を貼っておいたらE君は見えなくなるから大丈夫。Y君(俺)、見えてないでしょ?」

そう言われてミラーを見ると、確かにいなかった。

「でも安心しないで、見えなくても確かにそこにいるんだから。 これから私の家、つまり寺に向かって。もう少ししたら結界の中に入るの。そしたらE君の動きは鈍くなる。寺に着いて車を降りたら、B君とS君はI君を担いで急いで中に入って。この時振り向かない方がいいよ。Y君、私達も一緒だよ、わかった?」

「お、おう!」

なんとか力を込めて返事する。

正直この時点で、俺もDOUNしかけていたが。

それから20分で寺に着くと、Nの父親が出てきてた。

「お前ら、阿保ゥな事しよって!!」

あ、当然お怒りで…。

BとSはもう速攻でIを担いで寺の中へ入っていった。

俺も降りて寺の中に入ろうとした時、ライターを落として自然に振り向いてしまった。

「ダメッ!!」

エ?

俺の意識は切れた。

気が付くと、布団に寝かされていた。

周りにはB・I・S・N・Nの父。

どうやら俺は半日寝込んでいたようだった。

これはその日に聞いた話。もちろん事実だが、多すぎるので重要な事だけ。

Eは昨日の夜からすでに取り憑かれていた。

他の皆は無事お祓いした。

寺の周りには強力な結界を張ってあるので、Eは入れなかった。

俺が見たのは間違いなくEの姿。

そして、Eは取り込まれたため、もう二度と帰ってこれなかった。

その日はN宅に泊まって、次の日に帰ることになった。

帰宅途中、必然的にトンネルの付近を通るのだが、そこでありえない光景を見た。

トンネルの入口はコンクリート詰めになっていて、鼠が入る隙間も無かった。

怖い話投稿:ホラーテラー ウマシカさん  

Concrete
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