僕が地元を離れてから5年経った。5年も経つが彼女はいない。
彼女がいない理由は、学生時代付き合っていた彼女をいまだに忘れられないからだ
当時、彼女はソフトボール部でピッチャーでエースだった。 僕はというと野球部で補欠だった。
意外にも告白は、彼女からだった。
僕と彼女はいろいろな場所に2人で行った。
彼女とのデートで一番楽しかったのは、近所の公園でのソフトボールを使ったキャッチボールだった
だけど、楽しい時間も長くは続かなかった。
付き合い始めて一年後の夏に彼女は、試合中に倒れてそのまま帰らぬ人になった。心不全だった。
僕は、なにもかもどうでもよくなった。野球部も辞めた。高校もあまり行かなくなった。卒業できたのが奇跡だと思う。
僕は、高校卒業後すぐに地元を離れ就職した。
そして、僕は、今日、五年ぶりに地元に帰ってきた。
実家に着くと荷物を置いてすぐに彼女の墓参りをした。
彼女の墓に僕は、家から持ってきたソフトボールを置いた。
線香をあげて帰ろうとした時、〇〇!懐かしい声が僕の名前を呼んだ。
振り返るとそこには、彼女がいた。彼女は、驚いている僕に向かって『久しぶりにキャッチボールしよ!』と大きな声で言った。
言い終わると同時に彼女は、投球フォームをとった。僕は、即座に座り捕球体勢になった。
彼女の投げたボールが僕の方に向かって飛んでくる途中に僕はグローブをつけていないことに気付いた。
避ければいいのだが、僕は、久々の彼女のボールを受け止めたかった。
手で止めれば最悪骨折で済むはずだと思った。しかし、彼女の球は僕の手前で浮き上がり僕の額に直撃した。
彼女得意のライズボールだった。
僕の人生はこうして終わった。
今、僕は、あの世で彼女とキャッチボールを楽しんでいる。
彼女が死んでから止まっていた僕の時間は、あの世で再び動き始めた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話