短編2
  • 表示切替
  • 使い方

祖母

僕には一緒に住んでいる祖母がいるのだが、その祖母が倒れてしまった。

僕の両親は共働きで帰りも遅く、昔からよく祖母に面倒を見てもらっていた。

中学の頃、いじめにあい、その事を祖母に相談すると、

「どんなつらい事があっても笑っていれば大丈夫。」

と言われて、その言葉を支えに中学生活を頑張った。

高校に入ってからはいじめにあう事もなく、友達も出来た。

僕は祖母が大好きだ。

その祖母が倒れるなんて…

病院へ行くと先生から

「はっきり言ってかなり危険な状態です。」

と言われた。

涙が出そうになる。

確かに祖母はいつ亡くなってもおかしくない年齢だが、僕はその現実を受け入れる事が出来ないでいた。

その日は父が付き添い、僕は家路についた。

次の日の朝、リビングへ行くと、

「昨日間違えて変な所に電話かけちゃった。」

と妹が母に話していた。

電話がなった。

父からだった。

祖母の容態が悪くなったそうだ。

病院に到着し部屋へ入ると先生から、

「もう長くはありません。言葉をかけてあげて下さい。」

と言われた。

僕はベットの側へパイプ椅子を持っていき座ると祖母の手を握った。

祖母は僕の顔を見ると、

「ごめんね。心配かけて。おばあちゃんもうダメみたいだね。」

と言った。

涙が出て来た。

そんな事言うなよ・・・

泣いている僕の顔を見ると祖母は、

「そんな顔しないで。笑って見送って。」

そう言われ、僕は精一杯の笑顔を見せた。

そうだ。笑って見送ってあげよう。

ガチャっと音がした。

その時だっだ。機械から流れている祖母の心音が早くなり、呼吸が安定しだしたのだ。

なにが起こったのか分からず、先生の顔を見ると、

「有り得ません・・・。」

と言った。

声が聞こえた。

「一日でも大切にしてやれよ。」

その後、僕は必死で祖母の看病をしたが、次の日、祖母は帰らぬ人となった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ