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短編2
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色の始まり

昔、ある外国の町に常に帽子を被った若者が居ました。

 

彼はあるコンプレックスを持っていて人前に出ることを嫌がります、学校でも家族からも気持ち悪がられ、家を出てしまいました。

 

当然お金もないので今は路地で寝泊まりしています。

 

「どうして僕の髪の毛だけ異常なんだろう…」

 

そう、彼のコンプレックスは髪の色でした、今では普通にある色ですがその頃はまだ名前がない色でした。

 

皆さんはゴキブリが潰れた色を見ると気持ち悪いですよね?

赤や青など色として認識できていればまだ良いですが、色と呼べない物は不気味です。

 

だから彼の髪の毛は人々から【異常】と呼ばれていました。

 

あいつは悪魔の子だ!

殺すべきだ!

そんな意見まで出ました。

 

しばらくして彼はまた居場所を変えました、今度は廃墟になった教会です。

 

彼はそこで1人の女性と出会いました、彼と同じように家出をしてここで生活しているらしいです。

 

人と話すのが苦手な彼もだんだんと打ち解け、1ヵ月ほど経った頃に2人は恋に墜ちました。

 

初めて人を愛した彼は勇気を出して帽子を取り彼女に言いました。

 

「僕…生まれつき髪の毛がおかしいんだ、異常なんだ、嫌いになったよね…?」

 

彼女は彼の髪の毛を見て驚きましたが、ニコッと微笑みました。

 

「大丈夫、異常だなんて思わないわ、貴方を馬鹿にする人が居たら私が守るわ」

 

彼女の優しさに彼は泣いて喜びました、そして翌日、彼は彼女と町に買い物に行きました。

 

人々はやはり異様な目で見てきましたが、彼女を信じて気にしないようにしました。

 

が…。

 

ズボッ!!

「うわぁぁぁ…!」

 

彼は地面に掘られていた穴に落ちてしまいました。

 

「アンシー!助けてくれ!」

 

助けを求めましたが彼女は周りの男達と笑っていました。

 

「ふん…馬鹿な野郎だ、まんまと引っ掛かりやがった」

 

彼は彼女に騙され町に連れだされたのです。

 

そして男達は一斉に穴に砂を入れ、彼は生き埋めにされ死にました。

 

1ヵ月が経ち、その穴を見ると沢山の花の芽が出てました。

 

それは綺麗な色をしていて、人々は【緑】と呼ぶようになりました。

 

彼が死ぬ前に誰かが草や芽を【緑】と呼んでいれば彼は死なずに済みました。

 

しかし彼の死がなければ人々は【緑】という色を見つけられなかったかもしれません。

 

彼は今、世界中に花を咲かせています。

怖い話投稿:ホラーテラー D・Mさん  

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