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短編2
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「電気スタンド」

僕の元カノは、霊感も強く霊を惹き付けたが、そのナイス・バディのせいか、男も惹き付けた。僕からすれば、簡単に身体を許してしまう彼女はイマイチ信用の出来ない存在だった。でも、好きだと言う事は、人間の心理と言うものは複雑だよね?

当時、僕は新聞配達をしていて、彼女はそこの賄いをしていた。少し離れたアパートに暮らしている僕とは違い、彼女の部屋は会社の真上…。仕事中とは言え、彼女の部屋を見上げる毎日だった。

初夏の頃か…。彼女が部屋を出て来ると、決まって彼女の部屋に明かりが灯った。窓に映った「それ」は、恐らく電気スタンドに違い無かった。大方、彼女の部屋に泊まった男が、彼女が出てから電気スタンドを点けているんだ…と僕は嫉妬した。惚けた様に、

「部屋に電気が点いて居るよ?」

と聞くと、彼女は決まって、

「そんな事は無いよ?」

と言って、自分の部屋を見上げる。そして、彼女の部屋のドアの音と共に明かりは消え、それから暫くは降りて来なくなるのだ。

今にしても、僕の嫉妬は激しいものだったと思う。そんな事が続いた在る日、こんな僕でも彼女の部屋に遊びに行く事になった。遊び…と言っても他愛のない話をダラダラと話すばかりで、気が付くともう朝刊の時間だった。

「あ〜っ!徹夜だぁ〜っ!」

なんて言いながら、二人して部屋を出た。

不意に、在る事を思い立ち、階段を降りながら、僕は言った。

「ねぇ?もし、下に降りて部屋に電気が点いて居たら、どうする?」

「そして事、在る訳無いじゃん?今まで二人きりだったでしょう?」

あぁ、そうさ…。今日に限っては、点いて居る訳が無い…。今日こそ、男を連れ込んでいる事を確かめてやる!…内心、僕はそう思い、せいので振り返った…。

そこには…

明かりが点いていた…。ボォ〜っとした明かりが…。この時、初めてよくよく目を凝らした。「それ」は窓越しながらに「少し、揺らいでいる」事が確認出来た。

「…点いてるね?」

二人して顔を見合わせた。よくよく思い返せば、彼女の部屋の「あの場所」に電気スタンドなんて無かったんだ…。

それ以降も、明かり彼女が部屋を出ると同時に点いた。

彼女が言うには、この時期、部屋に帰ると決まって白い着物の女が待っていたらしい…。その白い着物の女が現れると明かりは消え、彼女もそのまま気絶していたんだそうな…。

二年程前、久々に当時の会社の前を通る事が在った。会社はもう無かったけれど、当時の彼女の部屋では大量の鳩を飼育しているらしく、人の気配は無かった…。

でも、普通、アパートの一室丸ごと鳥小屋にしちゃうなんて…有り得ないとは思いませんか?

怖い話投稿:ホラーテラー ネクロノミカンさん  

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