中編6
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裁きの穴

健二「なあ、お前等…裁きの穴って知ってる?」

一恵「裁きの穴?何それ?」

俊三「俺は知ってるぜ!確か、その穴に入ったら…罪を裁かれるとか…。」

健二「そう。その穴に入ると…無罪の人間は無事に穴から地上に戻れるが…有罪の人間は地上に戻れず、そのまま地獄に堕ちるらしいんだ…今度行ってみない?」

一恵・健二・俊三は大学で知り合った友人で、現在は夏休み真っ最中である。

一恵「いや!!心霊スポットなんて!!」

俊三「一恵…びびってんの?お前…この話信じちゃってんの?」

一恵「びびってないわよ!!私はオカルトなんて信じないから、怖がる必要なんて無いわ!!」

健二「はは!!じゃあ決まりだな!!」

一恵「でもソレとコレとは話が…」

俊三「よっしゃ!!確か裁きの穴は…○○県だったな。車で2日くらいか…じゃあ早速向かおうぜ。」

一恵「ちょ…。」

こうして三人は、俊三の車で裁きの穴へと向かう事になった。

―2日後 午後11時―

俊三「2日間走りっぱなしで疲れるわ~。おい健二!裁きの穴には後どれくらいで着くんだ?」

運転中の俊三が健二に問いかける。

健二「ほら、あのトンネル。あのトンネルを抜けたらすぐらしい。」

トンネルの中は明かり一つなく真っ暗だった。このトンネルが心霊スポットと言われてもいいのでは…と思える程の不気味さを感じつつ、3人を乗せた車はトンネルを抜けた。

健二「よし、ここで停めてくれ。ここからは徒歩だ。」

俊三「いや~遠かったな。これで裁きの穴は実はありませんでした…なんて事は無いよな、健二?」

健二「情報では確かここら辺に…お!これじゃね?きっとこれだよ!!」

健二はそう言いながら、穴にかぶせてある蓋を持ち上げた。

一恵「え?これが裁きの穴?何か想像と違う…。」

地面にマンホール程の穴がポッカリと開いている。穴の直ぐ近くに注意を促す看板があるものの、見た目は特に変わった様子も無い普通の穴である。

俊三「はぁ?これが裁きの穴?俺はもっとこう…でっかい穴を想像してたぜ…拍子抜けだな!ったく…。俺一番乗り~!!」

ピョン!!

健二&一恵「あ!!俊三!!」

俊三は裁きの穴へと飛び込んでいった。俊三の突然の行動に二人は呆然とし、穴の前で立ち尽くしていた。

―裁きの穴・内部―

俊三「よっと…。なんだよ!思ったより浅いんだな。飛び込んで3秒ほどで着地とはね。上にいる健二と一恵は見えるかなっと…え!!!」

そう言って上を見上げた俊三は仰天した。

俊三「空?…おいおい!!穴の中に入ったのに空がある…どう言う事だ!?しかも…夜だったはずなのに、青空じゃねえか!!おーい!!健二!!一恵!!聞こえるか~!!」

俊三の呼びかけに、健二と一恵の返事は無かった。しかし、すぐ近くから別人の声が聞こえた。

男「お前!!何いきなり叫んどんのじゃ!?驚くやろうが!!それに…変な服装しおって!!」

そこには、男が立っていた。男は40~50歳程に見える。

俊三「あ…すいません。あの~ここ…どこですかね!?」

男「は!?」

俊三「ここ…何県ですかね?それに…おじさんの格好…なんか古臭いですね。」

男「お前阿呆か?ここは広島じゃ!!」

俊三「広島?おっさん冗談キツイって!!穴の中に広島?はははは!!」

男「貴様…!!」

男は俊三に向かって銃を向けた。銃の先には刀が付いている。

俊三「ちょい…待ち!!すいません!!まじで…すいません!!」

男「失せろ!!餓鬼が!!」

俊三は「は、はい!!」

俊三は男から全力で逃げた。やがて、男の姿が完全に見えなくなった。

俊三「たく…なんだよ!!あのおっさん!!」

ゴオーー

俊三「ん?飛行機か?」

ピカ!!!

俊三がそう言った瞬間…空に強烈な閃光が走った。

ドオオオオオオン!!!!

俊三「!!う…!!あ…熱い…あつ…ぃ…あ…っ」

閃光は俊三を容赦なく襲い、一瞬で俊三を黒焦げにした。

―地上―

健二「…俊三が入って30分…か。」

一恵「ねえ健二…もしかして…この穴、本当に地獄に通じてるんじゃないかしら…?」

健二「はは…そんな馬鹿な…。俊三の事だ。もうすぐしたら帰ってくるさ。」

しかし、それからしばらく待っても俊三は返っては来なかった。

一恵「う…ああ…。」

健二「一恵?どうした!?」

一恵「俊三は地獄へ行ったんだわ!!そうよ!!そうに違いないわ!!」

一恵はパニックを起こし、暴れだした。

健二「おい!!落ち着くんだ!!そんなに暴れたら…危ないぞ!!」

健二は一恵を押さえつけようとした。

一恵「放して!!…あ!!」

健二の手を振り払った一恵はバランスを崩し…

一恵「きゃ!!きゃあああああああぁぁぁ…」

健二「か…一恵ぇー!!!!」

穴の中へ落下した。

―裁きの穴・内部―

ドサッ…

一恵「…う…ん?…ここは…どこ?」

一恵は見た事も無い町並みに戸惑っていた。

一恵「ここが…地獄?…いえ、そんな風には見えないわね。この町並みはまるで…外国のような…ん?う…!!」

戸惑う一恵の鼻を、悪臭が襲った。

一恵「何?この臭い…。何かが焦げたような…腐ったような…。」

男「~~~~~~!!!!」

一恵の後ろから男の叫び声が聞こえた。日本語ではない、外国語の声が。その声を聞きつけ、次々と男達が集まってきた。

一恵「え…何?この人達…?あ…痛!!!」

男が一恵の髪を鷲摑みにした。そして、一恵を引きずり始めた。

一恵「痛い!!ちょっと!!放してよ!!」

男「~~~~~~!!!!」

男には日本語が通じなかった。一恵は100m程引きずられ、大きな路地へ連れ出された。

一恵「あっ!!!」

そこには地獄絵図が広がっていた。広場に集まっている群衆。その群集の中心には、何人もの女性の死体が転がっている。ある死体は黒焦げ、ある死体は首を切られている。そして、次々に女性が虐殺されていく。

一恵「こ…これって…魔女狩り…!?いや!!逃げなきゃ!!」

男「~~~~~~~~!!!!」

外国人の男達には、一恵の黒髪が邪悪に思えたのだろう。一恵をギロチンへ引っ張っていく。

一恵「離してよ!!!」

一恵は必逃げようと必死にもがいた。しかし、男の力はとても強く、逃げる事は不可能であった。

ストン…

一恵「ひっ!!」

ストン…

一恵「いやぁ!!」

次々に切り落とされて行く女性の首…そして、遂に一恵の番がやって来た…。

一恵「いやああぁぁぁ…あ…」

ストン…

一恵「ぐぇ…」

ゴロゴロ…

一恵の首は虚しく転がり落ちた…。

―地上―

健二「一恵が穴に落ちて…2時間…か。…くっくっく…!!あっはっはっは!!」

健二は一人で不気味に笑い始めた。二人が穴から出てこない事を喜んでいるのだ。

健二「本当だったんだ!!この穴は…本当に地獄に通じてたんだぁ!!あははは!!!俊三!!一恵!!ざまあみやがれ!!」

健二は顔を穴に近づけ喋りだした。

健二「一恵ぇ…お前…俺と付き合ってる癖に!!俊三と寝やがったんだよなぁ!?この娼婦がよぉ!!俊三!!てめぇも…俺の女と寝やがって!!しかも何回もよぉ…!!お前等は地獄に行って当然なんだよ!!あっはっはっはっは!!!」

一恵は、健二と付き合っていた。しかし俊三の誘惑に負け、体を許してしまった。やがて、一恵と俊三は頻繁に会うようになり、どんどん親密になっていった。健二が二人の関係に気付いてしまうほどに。…健二は二人の裏切りに怒り、二人を地獄に落とそうと考えたのである。

健二「ざま~みろ!!お前等が悪いんだ!!」

健二は穴に顔を覗かせ叫ぶ。…その時である。穴の中から手が4本伸びてきた。2本は黒焦げの腕、もう2本は血まみれの腕である。

ガシッ!!

健二「う!!何だ!!おい!!放せよ!!う…!!なんだよ!!お前ら!!うおぉ!!うわぁぁぁぁぁぁ…」

健二は4本の腕によって、穴に引きずり込まれていった…。

―裁きの穴・内部―

健二「うわあああ!!く…暗いぃ!!…ん?何だ?何か…声が聞こえるぞ!?」

健二は、暗い穴の中を落下しながら「謎の声」に耳を傾けた。

謎の声「地獄とは幻か…否…地獄は実在する…では地獄とはどこだ…地獄とは…貴様等の歴史だ…貴様等が…地獄を作り出しているのだ…私は…“その場所”に貴様等を送り込むだけに過ぎぬ…地獄は…貴様等の愚かさ…罪深さによって生まれるのだ…」

健二「地獄の正体が…俺達の歴史だって!?」

ドサッ…

健二は地面に着地した。そこは鉄格子で囲まれた収容所で、その壁面には鉤十字のマークが描いてあった。…健二が立っている場所は、まぎれもない地獄である。

怖い話投稿:ホラーテラー 最愛さん  

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