短編1
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うねうねと

去年の今頃仕事を終え地下鉄に乗り込むと、左側に40才くらいのビシッとしたスーツ姿のサラリーマンが立っていた。

(会社帰りなんだなぁ)

と思い視線を戻そうとしたが、なんかおかしい事に気づいた。

グレーのスーツに鞄。

一見普通に見えるがズボンのファスナーが開いている。前の座席には大人しそうな若い女の子が座っている。

(コイツまさか露出狂か?)

そう思っていると、女の子は震えているようだった。

俺は咳き込みながら近づいて行くと……!?

ファスナーから青白い華奢な手が飛び出していた。

俺は驚いてしまい見入っていると、女の子と目が合った。

女の子はどっちの意味か分からないが、助けを求めているように見える。

どう考えても心霊現象だが、手の事は言っても信じてもらえないだろう。もしかしたら女の子も見えてないかも知れない。

「高橋さん?」

俺はわざとらしく男に声をかけた。

男はこちらを向く。

「あ、すみません間違えました」

そう言ってる合間に女の子は会釈して立ち上がり、隣の車両に移動していった。

結局男は俺が降りるまでファスナーを開けっ放しだったが、うねうねと動く手がとても恐ろしかった。

怖い話投稿:ホラーテラー 電車男さん  

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