短編2
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派遣会社6

交番の前に立っていた天使の職務質問が終わったところだった。

電話が鳴った。

「お仕事です」

担当の女性は依頼人の名前、仕事内容、場所と時間を丁寧に説明し電話を切った。

少し気持ちが沈んだ。

仕事先があまり訪れたくない場所だったからだ。

さっきの職務質問といい、今日はツイてない日だなと思いながら仕事先へむかった。

今回の仕事先は神社だ。

神社の前にはまるでオレの訪問を拒否するかのような長い階段があった。

ため息をつきながら階段をのぼる。

階段をのぼりながら考える。

人間は何故不吉な事が起こるとすぐに幽霊だの取り憑かれただのというのだろう。

ただの風邪なのに……。

階段をのぼりきり本堂へと足を運ぶ。

中へ入り一つの部屋に入る。

中には女が部屋の中央で向かい合っており隅には男が座っていた。

今回はこの男か。

そう思っていると先ほどからお経を唱えていた女と目が合った。

すると突然女は

「ヒィ!」

と何とも情けない悲鳴をあげその場に座り込んでしまった。

なんだ。オレの姿は見えるのか。

そして女は急いで立ち上がると先ほどよりも声を大きくしオレにむかってお経を唱え始めた。

無駄な事をと思っていると今度は男が

「うわああああ!」

と声をあげ部屋から飛び出してしまった。

担当の女性が男は極度の怖がりで、ホラー映画も開始三分で見るのをやめてしまうといっていたのを思い出す。

恐らく女の動揺の仕方に驚いてしまったのだろう。

怖がりのくせにこんなところについてくるな!と思いながら後を追う。

男があの長い階段をおりはじめた。

これはチャンスとばかりに男の背中を押した。

男はまるで映画のスタントのごとく階段を転がり落ちていった。

そして階段の下で血を流し動かなくなっている男に近付き魂を拾い死神派遣会社に戻った。

しかし人間は楽でいいな。

見えもしないものを見えるというだけで客が集まり、できもしない事をするだけで金が入ってくるのだから。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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