短編2
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開かずの踏切体験段

先日、地元では有名な「開かずの踏切」で体験した話です。

有名なんですが、私はその開かない状態に一度も遭遇うしたことがなかったのです。普段その道を利用することは少なかったせいもありますが。

その日は本当に開きませんでした。すぐ横に駅があり、上り線も下り線もずっと電車が通って踏切は閉まったまま。かれこれ10分はたっていました。

遮断機の前に軽自動車と、単車がいて、私はその次に停まっていました。

いったいいつになったら開くんだーと思いながら、上り線と下り線の電車が交差しているのをぼんやりながめていたのですが、ある変なことに気付きました。

電車と電車の間に人影が見えるのです。

「何あれ?危ない!」

何を危険なことしているのだろう、いつの間に線路にはいったんだろうと思いましたがすぐに違うと気がつきました。

その人影は電車の乗客と同じ高さの位置に見えるのです。線路にいるのならその高さでは見えません。

でもずーっと同じ位置、踏切のところにいるのです。

電車の乗客なら、すぐに電車ごと視界から消えます。

わたしは、「えー?」と信じられませんでしたが、すぐ前の単車の人が横の軽のドライバーのほうを向き、軽のドライバーも単車の方を向いています。

    

そして今度は単車の人が私の方を振り返りました。ヘルメットでその人の表情はわかりませんでしたが、「見た?」と言っている感じで私も思わず、見た見たとうなずきました。

単車の人はまた軽の方を向き、何か言っているようでした。踏切の「カンカン」

の音と、電車の通過する音で会話なんて無理でしょうが。

上下の電車が通り過ぎると踏切には誰もいません。

また、次の電車が来て踏切は閉まったまま。

当分開かないのなら、車から降り、前の人に今のは何だったの?と話しかけようかとも思ってしまいましたが、そのあとやっと遮断機が上がりました。

しかし、前の軽の人はよほどびっくりしたのか、すぐに発進せず大量のクラクションでハッと我に返ったのでしょう。前の車と私の車は無事に踏切を渡り終え、後続の1台が渡ったところでまた「カンカン」と鳴り遮断機が下りました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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