短編2
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鎖された街 ~発生~

「畜生、遠いな」

おぼつかない足取りで家を目指していた

男の家は妻が専業主婦で働き手は夫だけだ 金銭的な問題で都市部から少し離れた郊外に家は建っていた 都市部にある病院から自分の家までは相当距離があり 足では3時間以上かかる ましてや怪我をしているため 尚更だった

日は刻々と傾き始めていた 辺りはだんだん暗くなりどこか不気味な雰囲気を覚えた

緊張からか不思議と腹が減らなかったのが幸いだった

「今日はその辺の家で泊まらして頂くか どうせ誰も居ないだろう・・」

最初に目に付いた家に泊まる事にした

「誰か居ますか?」

恐る恐る扉を開けながらそう言った後 家にゆっくり入っていった

一通り部屋を見渡したが誰も居なかった

しかし一つ気がかりな事があった

地下へと続くと思われる床にある扉から 異臭が漂っていた

腐った動物のような鼻をつく臭いがした

恐怖を覚えたため急いで台所に行き 懐中電灯、長めの包丁を手に持ち地下に行く覚悟を決めた

包丁を強く握り締め扉を開けた 同時に物凄い臭いがし

「うっ!」

と、思わず声をあげてしまった

そして今まで気付かなかったがなにかうめき声のようなものが聞こえた

一歩一歩階段を降り 遂に下まで着いた

懐中電灯の光が部屋中を照らす

何かがいた

人らしき物体が背を向け小刻みに震えている

「大丈夫ですか?」

と、声を掛けたが反応がない だが、ゆっくりと振り返ろうとしていた

懐中電灯の光は恐怖で激しく揺れていたが確実にそいつの顔を 捉えていた

そして遂にそいつの顔をうつした

同時に体が凍った

それと裏腹に包丁を更に強く握り締めた

その物体の顔は腐っているかのように皮膚は爛れ到る所から 血が噴き出していた 口は大きく開き歯は全て尖っていた

鼻は潰れ 目は真っ黒だった  そしてなにより血が黒かった

もう一度

「大丈夫ですか?」

と、いった瞬間 体を大きく震わせ 奇声を発し襲い掛かってきた

しかし、最初から狙いすましていた男の一撃は見事 そいつの脳天に突き刺さりピクリとも動かなくなった

「なんだこいつは!?一体どうなってんだ!!」

今の状況が全く理解できなかったが しばらくしてから落ち着きを取り戻した

「たまたま入った家にこんなやつが居たとは・・・   !!」

男は急いで階段を駆け上がり家の鍵をかけカーテンを閉めた

窓のすき間から外の様子を覗くと 漆黒の闇に包まれていた だが何か居る気配は感じられなかった

安心感からか男はその場に崩れ落ちた

そして今まで気付かなかったが怪我している足が痛かった

台所に行き鎮痛剤を飲んだら自然と痛みは引いていった

それと同時に強烈な眠気に襲われソファーに深く座り込み 深い眠りへとついていった・・・

怖い話投稿:ホラーテラー ジャンさん  

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