中編3
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産声

引越しをすすめていただいてるが、無駄だからしない。

何処にいても念がない場所はないから。

その場所に留まる無差別な念、窓から入り込む漂流的な念、外を歩いていても人は個別の念を受け持ち帰る。

生き霊、呪縛霊に限らず人間でも霊体でも念を発する。

受けるか受けないか。

害があるかないか、それだけ。

害があるやつは同調し人体を操作する。

幻聴、幻覚を視させる。

テレビ等で言う同調され易いやつ。

それは肉体の問題。

少し他の人と作りが違うだけ。

気が留まり易かったり、多く取り入れ易いだけ。

その様な人には護符、霊石、他いろいろ御守りと呼ばれる類いを勧める。

肉体から出入りする気の流れを一時的に良くするための物。

空気と同じ。

口、鼻から入り込み体を巡り排出される。

詰まっていれば呼吸しにくい。

気は毛先、指先からも出入りする。

霊柩車をみたら親指を隠せ。

迷信ではない。

親指の爪の間から故人の念、親族の念が入り込んでくる。

俺はよく想像をさせられる。

想像、イメージは寝ているときだけではない。

皆さんもあるだろう。

仕事をしているとき、会話をしているときに全く違う事が急に頭に浮かぶこと。

あれば同調されている可能性がある。

話しはそれだが実家ですら落ち着けない。

言っておくが、俺には霊を直接見ることも出来なければ浄霊なんてもっての他。

それは坊さんの役目。

俺が出来る事は人を視て諭し、念を感じ、同調し想像をすることしかできない。

だから中途半端でこまる。

同調し、想像が思い込みではなく真実であることを教えてくれたのは俺が勝手に師と仰ぐ人。

機会があれば話す。

高校三年までの間。

俺はここで育った。

大学に入り「お米」の家にうつるまでは。

二階建ての一軒家。

高校一年の時にそれは気づいた。

異常なのはわかっていた。

周りは田んぼだ。

近所の家までは一キロ以上ある。

聞こえることはまずない。

それが家の周りにいない限り。

しかとした。

夜はカエルの鳴き声と鈴虫の羽色しか聞こえない田舎。

静かな夜にそれはまた聞こえた。

「おぎゃぁ。おぎゃぁ」

また始まった…

「おぎゃぁ。おぎゃぁ」

「おぎゃぁ。おぎゃぁ」

しかと。

いつも家の周りをみわたしても何もいない。

ソファーに座りテレビをつけた。

雑音がはいる。

テレビの音の中に混じって聞こえる声。

19時から3分程。

「おぎゃぁ。おぎゃぁ」

試しに場所をかえたが何処にいても聞こえる。

家族には聞こえてない。

恐怖。

経験、知識、常識から考えるが

まずありえないだろう。

ドスの聞いたおっさんの声の産声。

聞こえる毎に鳥肌がたつ。

「おぎやぁ…おぎやぁ…」

耳につく。

お笑い番組をみている俺。

笑えない。

聞く度にわざとらしい泣き方をする。

「おぎやあ、おぎやあ」

一週間がんばった。

耐えきれない。

耳栓をする。

静寂の中で耳鳴りと産声だけが響く。

同調されていた。

恐怖が慣れに変わりそれが怒りに変わった。

フルしかと。

何事もなかったようにテレビをみて笑う。

それからは嫌がらせの如く毎日夜にも現れた。

寝ている俺を40歳位の髭を囃したおっさんが覗きながら囁いている。

「おぎや、おぎや、おぎや」

気分の悪い寝起きだ。

何がしてほしいのか。

全くわからない…

生き霊なのか霊体なのか。

それがわかったのは高校二年になったときだ。

ふとアルバムを見ていたときだった。

見覚えのある顔。

毎日夜に俺の顔をのぞくおっさん。

今はいない俺のひいじいちゃんだった。

写真は80位だろう。

顔が同じだ。

俺の一族は女家系。

俺は唯一の男だった。

俺が生まれ非常に喜んだと言う。

生まれたばかりの俺に何度も言ったそうだ。

この子の子供が早くみたいと…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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