短編2
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夜中に歩く幼児

以前、住んでいたアパートでの話。

私は一人暮らしなので、気ままだった。

その日も夜中二時すぎにシャワーを浴びて、部屋に戻ったとき、外からピコピコと鳴る幼児用の靴の音と、ガラガラとなにか引きずる音がしたので、ふとカーテンをひいて外を見た。

窓からは、同じアパートの別棟をひとつ隔てて、道路が見える。

近くにある24時間スーパーの駐車場がその向こうに広がっていて、かなり見通しが良く、そこのオレンジ色のライトが明るくアスファルトを照らしていた。

夜中だから誰もいないが、暗くないから、怖い印象はない。

そのオレンジ色の明かりの下を、三歳くらいのつなぎを着た男の子が、車のおもちゃをひきながらトボトボと歩いていた。

こんな時間に変だな。でも、ひとりでどうしたんだろう、と、心配になり、外に出ようとした。

私は視力がとても悪い。0.1ない。

風呂上がりだったので、急いで眼鏡を探して身につけ…

たところでようやく気づいた。

目の前もぼやけてわからないくらいなのに、階下の道路を歩く男の子の服がジーンズ素材だったことや、ひきずるブーブーにミッ○ー○ウスのおもちゃがついていたことまで、見ている。

(あー、生きてる子じゃないかも)

考えたとき、靴の音、ブーブーをひきずる音が、ピタッと止んだ。

一応探したけど、夜中の車もないだだっ広い駐車場には隠れる場所もなく、その子の姿を見つけることはできなかった。

それ以上のオチはない。

もしかしたら、本当は生きてた子かもしれないけど(笑)、あんな時間に小さな子をひとりで外に出すようなばかな大人はいない、という願いもこめて、幽霊ということでお願いします。

怖い話投稿:ホラーテラー 鹿子さん  

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