短編2
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約1週間前の出来事である。

その日オレは部活も無く、大学でも特にすることも無かったのですぐに家に帰ることにした。

家に着くとさっそく自分の部屋に入って、鍵を閉め、パソコンのスイッチを入れた。

ズボンを下ろし、ベッドに横たわりお気に入りの動画をクリックしてイヤホンを耳にかける。

全身の力を抜き。

右手にはマウスを、左手にはモノを持ってリラックスした状態にはいった。

しばらくして、

動画はクライマックスを迎え、腹筋と尻に力が入りだし、それに呼応して自然と左手も躍動的に動きだす。

そんなとき事件は起こった。

イヤホンから聞こえる女性の喘ぎ声とは別にドアの向こうから女性の

「ギャーーーーー」という声が聞こえた。

母の声である。

何事かと思い、急いでズボンを履き、声がしたリビングへと足を運んだ。

「K…………あれ……」っと言って指を指した先には

1匹のG

急いでベランダにある古い新聞を持ってきて、リビングに戻ると、そいつは触角を上下左右に動かしながら、オレの正面を向いて待ち構えいた。

新聞を丸め、少しずつ近づいていく。

動く気配がしない。

余裕なのだろうか?

距離が1mを切り、身を屈めようとした。

まだ動く気配がしない。

余裕なのだろうか?

脳から腕へ新聞を振り抜くよう電気信号が送られようとしたとき

Gの背中が真っ二つに割れ、内側の薄茶色の羽が現れたかと思うと、高速で羽ばたきオレに向かってきた。

生物は敵と対峙ときに本能は 闘うか逃げるかの選択をとっさに行うらしい。

そして、Gは果敢にも人間という圧倒的に戦力に差がある敵に対して闘うことを選択した。

一方オレはというとGが羽を広げ羽ばたこうとした瞬間、視界がモノクロになり羽ばたく羽が一枚一枚とまではいかないが、すべての動きがスローモーションとなって見えた。

そして、オレの中枢神経は振り抜こうとする腕を緊急停止させ、左に倒れることを選択した。

そう、オレの脳細胞は逃げることを選んだのだ。

へたりこんだオレの上をさっそうと飛び越えたGは華麗に着地、オレの部屋へと躊躇なく入っていった。

それを見ていた母が、〇キアースジェットを片手にGの後を追った。

それを呆然とみていたのだが、あるものが視界に入ったとたん、全身に悪寒が駆けめぐった。

「イヤホンが廊下に?」

部屋から慌ててでたときに引っ掛かってとれたらしい。

オレも慌てて自分の部屋に戻るが時既に遅し。

軽蔑した目をむけているが何もしゃべらない母とドアの前ですれ違った。

そして、目に映ったのは仰向けになって動かなくなったGと場違いなBGMがパソコンから流れていた……

あれから1週間母とはまだ一言も言葉を交わせないままでいる。

怖い話投稿:ホラーテラー 未だにDTさん  

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臨場感の溢れる作品でした(笑)

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