大学生の時の話。
その当時、ぼくには気になる女の子がいた。
そして、夏休みにはいったこともあり、勇気を出してその子(以下Aちゃん)を映画に誘った。
Aちゃんは、映画に行くことを了承してくれた。
そして当日、映画館の上映予定表を2人でみながら、何を観るか話し合っていた。
おれ「何観よっか?」
Aちゃん「私なんでも好きだから決めていいよ」
以下おれの思考回路
ホラー映画を観る
↓
Aちゃん怖がる
↓
横には男らしいおれ
↓
Aちゃんがおれを好きになる
↓
めでたしめでたし
という完璧なプランができあがった。
おれ「じゃあ、呪怨2観よっか?」
A「え〜、私怖がりだから無理だよ〜」
おれ「大丈夫大丈夫、たいしたことないよ。おれ幽霊とか怖くないんだよね。」
Aちゃん「わかった〜頼りにしてるから笑」
みたいな感じでプラン通りホラー映画を観ることになった。
チケットを買った後、お決まりポップコーンとジュースをゲトると2人並んで座席についた。
そして、映画が始まった…
上映中、横をみるとAちゃんが不安そうにスクリーンを見つめている。
おれ(これはマジでいいところをみせるチャンスだ!!頑張れ自分!!)
とか考えながら怖いシーンをわくわくしながら待っていた。
そして、映画も中盤にさしかかり、何かが起きそうな無人の家を探索するという期待できそうなシーンに突入した。
映画の主人公が探索していく間に、急に物音がなったりとか、黒い影が通りすぎたりとかの演出の度に、Aちゃんが怖がりながら自然とおれの方に寄ってくる。ホラー映画を観ながら、おれの顔は完全にニヤついていた。
そして、主人公が長い渡り廊下を歩くというシーンになった。
主人公が歩いて行くと目の前に虫(ゲジゲジ)が威嚇しながらたちふさがっている。
そして、次の瞬間そのゲジゲジがこっちにむかって飛びかかってきた。
それを観たおれはどうなったかというと、あまりの恐怖に「ひゃはっ!!」という奇声を放ち、手に持っていたポップコーンコーンを辺り一面に撒き散らしていた。
そう、おれは虫が苦手なのだった。
おれがぶちまけたポップコーンは、前の座席の人の頭にふりかかっただけでなく、横にいたAちゃんの綺麗な髪の毛に巻き付いていた。
そのあと、映画が終るまでおれとAちゃんは一言もしゃべらなかった。
後日、おれはAちゃんに告白したが振られた。
でも、その理由をおれから聞くことはなかった。
だって…わかっていたから。
「ひゃはっ!!!!」
(終)
怖い話投稿:ホラーテラー ピエロさん
作者怖話