中編3
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ベランダの訪問者

私はとある団地に3年間ぐらい住んでいました。

中学生のときのことです。

親の仕事の都合で転校する事が多かった私にとっては、同じ地域に3年も住むことは、とてもめずらしいことでした。

母は私が小さい時に死んでしまって私は父と二人で生活していました。

父は仕事で夜遅くまで残業。

そのため、家には一人でいることが多く、学校の友達を呼んでも夜には必ず一人になりました。

そんなある日、ベランダのほうで、物音がしたんです。

なんだろう? と思い、カーテンをあけ外を見ました。

誰もいません。

風かな・・・そう思い、カーテンを閉め、自分の部屋に行き、学校の宿題に取り掛かりました。

しばらくすると、またベランダで物音。

今度は何かが引きずられているような音でした。

ズズズゥ~~・・・・という音です。

ベランダには手すりがあり、その手すりを擦っているような音です。

私の部屋からはベランダはよく見えなくて気になったのですが故意に見ようとはしませんでした。

しばらくすると、その音はやみ、ベランダには静寂が戻りました。

次の日、私が学校から帰ってベランダを見ると、ベランダにあった花壇がめちゃめちゃになっていました。

なんで!? と思いベランダに出て散らばった花や土を集めていると、すぐ背後にただならぬ気配を感じました。

気配というよりは殺気のようなもの・・・

突き刺さるような雰囲気が私の背中にのしかかりました。

何かいる! そう思っても体はすでに動かない。

動くのは目だけ。

散らばった花だけが入る視界の隅に何かの影が確認できました。

影の主は、自分の体を大きく揺らしていました。

右に揺れ、左に揺れ・・・振り子のように体を揺らしている。

その影が突然、前に倒れてきました。

私の顔を覗き込もうとしているようでした。

私はその得体の知れないものの顔が見えそうになったとき、私は反射的に目を瞑り、その殺気に満ちた視線が消えるのを待ちました。

目の前にいる。

ここで目を開けたら、もろに、その殺気の主と目が合ってしまいそうでした。

すると、そいつが言ったのか、こんな言葉が聞こえました。

「死んでる、死んでる」

その言葉と同時に視線や殺気は私から外れ、どこかに消えていきました。

目を開けると私は汗びっしょりで一人震えていました。

すぐに父に電話をして、このことを話し、すぐに帰ってきてくれるよう頼みました。

しばらくして父が帰ってきて、ベランダを調べてくれました。

もちろん私は怖くてベランダをみれませんでした。

「何も無いぞ?」父の声が聞こえます。

「ほんとに何かいたの!!」

必死に言いました。

すると父が ん?? と何かを見つけました。

「これは何だ〇〇(私の名前)!?」

父に言われましたが、ベランダを見ることも嫌だった私は激しく抵抗しました。

ですが、父がどうしても見てみろというので恐る恐るベランダを見ると、父は手すりを指差していました。

ですがその手すりがおかしい。

曲がっている、尋常じゃなく。

削れていると言ったほうがいいかもしれません。

グニャグニャになっていました。鉄の手すりが。

それから、その影が現れることはありませんでしたが、あの時、私が目を閉じていなかったら・・・

考えるだけでゾッとします。

それからしばらくして、私はその団地から引っ越しました。

その団地を出るとき、下からあのベランダを見上げてみました。

一瞬、体が動かなくなりました。

「あいつが居る・・・!」

黒い影がこちらを見ていました。

一度目を閉じました。

再びベランダを見ると、影は居なくなっていました。

気のせいか、そう思い父の車に乗り込もうとした時、声が聞こえました・・・

「あれ、生きてたの・・・・・」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名ネギさん  

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