短編2
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逃げる不良。追う死神。

鎧武者って話を見て思い出した事がある。

中学生の時そこそこヤンチャしてた。

あるとき他校のやつらと喧嘩になった。

でも一応その時は硬派とかが流行ってたからリンチとかはなく5対5の一人づつのタイマンって事になった。

三日後、他校のやつらのたまり場の公園に向かった。

相手も約束通り5人でいた。

さぁ誰からやるかってなった時に公園の正面入口になにかいる…。

小さな街灯でよく見えないが黒いマントで全身を覆い右手に鎌?みたいな物を持っていた。

顔はよく見えなかった。

そいつがいきなり

「…ギョェェェェェエエ!」

みたいな事を言いながら走ってきた。

相手チームこっちチーム含め10人全員が

(ヤバイ!)

と思ったに違いない。

一人が走りだした瞬間、皆が一斉に走りだした。

喧嘩とかもうどーでもいい。

取り合えず逃げなければ!

全員裏の入口から逃げだしたが裏道は一本道で山に繋がっている。

山まで行けばなんとかなる。

全員が山に向かった。

ふと振り返ると黒い死神みたいなやつは真っ白な顔をしていた。

目は黒い空洞のような感じ。口は開いたまま鼻は穴が二つ開いてるだけ。

とその時…躓いた。

タイミング悪くこけてしまった…。

周りのやつらは止まり振り返ったがもう俺と死に神との距離はすぐそこだったらしい。

死神は走る。鎌を振りかざしながら。

(死んだ。)

初めてそう思った。

一か八か…もし触れられるのらどうにか抵抗し周りのやつらだけでも助かれば…

そして俺はこけた体制のまま死神の足を払った。

死神の「うわっ」という声と共に死神は派手にこけた。

と次の瞬間死神の先。

仲間の足元に白い何かと鎌が飛んでいった。

全員(ん?)って感じで仲間の足元を見るとスクリームの面と山本と名前の彫られた鎌。

死神を見ると黒いマントを着たハゲた中年のオッサンだった。

正体がわかった俺達がオッサンに近づくとオッサンは小声で

「スミマセン…スミマセン…二度トシマセン…ホンノジョウダンデ…」

的な事を半泣きで言いながらまるで生まれたての子羊のように震えていた。

俺達はキレる前にその姿が可笑しくて笑いを堪えるのに必死だった。

そのあとは別に殴ったりする訳でもなく警察につきだした。

喧嘩の予定だった相手ともその事がきっかけで仲良くなった。

今でも集まれば笑い話になる。

刑事のオッサンいわく街をうろつく別の不良にからまれた腹いせらしい。

いつもこの公園で不良が溜まってたのを知っててやったとの事。

怖い話投稿:ホラーテラー 死神怖いさん  

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