短編2
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新車

僕が、車を新車に乗り換えた頃の話。

その頃、いい感じになっていた女の子と一緒にドライブに行った。

行き先は特に決めず、交差点を右とか突き当たり左とか、そんな感じのドライブだった。

楽しい時間はすぐ過ぎてしまい辺りは真っ暗でしかも山道だった。

長い下り坂をかなりのスピードで下っていると…

助手席に乗ってる女の子が

「ちょ、ブレーキブレーキ!!」

と急に言い出した。

僕は何が何だか分からずそのまま車を走らすと…

「ブレーキ!危ないって!ブレーキ!!」

あまりにも停止を要求するから、車を止め女の子に聞いた。

「え?何かあった?」

「全然意味わかんないんだけど」

すると女の子は

「え?あぁ。そうゆうことか」

「私にしかわかんなかったんだ」

僕はますます分からなくなりどういうことか聞いた。

女の子はいわゆる『見える人』らしい

僕がかなりのスピードで山道を下っていると

道の真ん中でチェックの服を着たおじさんがたってるのが見えたらしい。

そして僕がスピードを緩めないのでそのまま引いてしまうのかと思ったのだという。

僕は女の子に

「もしかして今、そのおじさん引いたりしてる?」

と軽い気持ちで聞くと女の子は

「大丈夫だよ。今はあなたの目の前に立ってるから」

と言った。

僕は怖くなりすぐ帰ることにした。

その体験から女の子とは連絡を取らなくなった。

それから2か月が経ったある日の事。

僕は友人に居酒屋まで迎えに来てほしいと頼まれた。

特にする事もなくヒマだったのですぐ向かうことにした。

居酒屋に到着すると友人と友人の上司が立っていて、上司も一緒に送ってほしいとのことだった。

友人の上司と軽く挨拶を交わすと…

「これ、君の車?」

と友人の上司が聞いてきた。

「はい。最近買い換えたばっかりなんですよ」

と自慢気に言った。

すると

「気のせいだったら全然いいんだけど…」

「チェック服着たのおじさんに心当たりない?」

と、友人の上司に言われ

ないよ!と思ったが2か月前の出来事を思い出した。

友人の上司も『見える人』だった。

しかし、僕は冷静を装い

「いや、全然ないですねぇ」

と言うと

友人の上司が

「じゃあ、全然いいんだ。チェックのおじさんね…」

「今、車の右前輪にグチャグチャに絡まってるだけだから」

僕はチェックのおじさんと2か月間ドライブしていたんですね

怖い話投稿:ホラーテラー ヘルメットとかさん  

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