中編3
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群衆事故

知っている人も多いと思いますが、

10年近く前に、兵庫県の某市で花火大会で大勢集まった観客らが

開催側の誘導不手際で、駅前の橋の上に殺到して大惨事になった事故。

当時、私も遭遇していたのですが、あれは酷いもんでした。

普段は都内に勤めていたのですが、その時期は忙しい仕事が一段落したことで

郷里に帰省しており、ついでに花火大会に立ち寄っていました。

歩く方向が混雑しているだけならまだしも、

文字通り人の流れが土石流みたいな状態で、全く逆らうことができず

例の橋の上まで、押し出されるように辿り着いてしまいました。

辿り着いた時には既に、橋の上は蒸し風呂状態。

ただですら気温が暑かったのに、橋にプラスチックの覆いが施されていたせいで

大勢の体温による熱気と湿気がすさまじい状態になっていました。

みんな汗だくの状態になって、吐き気のするような悪臭。

そして、気分を悪くして嘔吐した人の汚物が、周囲の人にふりかかるような有り様。

逃げようにも身動きすらできませんでした。

都心のJR・地下鉄は、路線によっては殺人的な混雑になりますが、

あんなものではありません。

四方からギュウギュウに押しつぶされるような状況で、隙間がまったくなし。

呼吸で肺を膨らませるのすら困難な状況で、ずっと息が苦しかったのを覚えています。

亡くなった方も大勢居ましたが、だんだん息が続かなくなって死ぬのではないか…と、

私自身も死の危険をずっと感じていました。

しかも、そんな我慢している中、

いきなり橋の片方向から更に大勢がなだれ込んできたらしく、

もの凄いパワーで圧縮さて、あちこちから悲鳴と絶叫が起きました。

途中、足が床ではない別な柔らかいものを踏みつけました。たぶん人間だったと思います。

確かめる気力も体力もありませんでした。

そこから少し進むと、橋の手すりのあたりで、

幼い子供が鉄製の手すりに腹部をめり込ませ、

口から血の泡を吹いて目をつぶったまま動かなくなっていました。

もしかすると既に事切れていたのかもしれません。

それから2時間以上して脱出した時には、全力を使い果たして一歩も歩けない状態でした。

体のあちこちの表面が擦れて出血し、

筋が痛めつけられて、腕や膝を伸ばすと激痛が走る有り様。

疲労で頭痛がガンガンして座り込んでいると、看護服を着た人達がやってきて、

私はおんぶして救護テントに運ばれました。

その後、病院に運ばれた後、点滴やらを打って一日病院のベッドで安静。

連絡で駆けつけた親や親戚の人とかが来ましたが、

まさか花火大会の観客だけであんなことになるとは、日常生活からは想像し難いため

悪夢のような状態を説明して把握して貰うのに時間を要しました。

当時の橋の上は、地獄絵図と呼んでも差し支えないかもしれません。

後の報道で知ったのですが、時間と位置関係から言えば、私はまだマシな場所に位置していたらしく

もっと後方を歩いていた人達は、更に酷い有り様。

助かりたいあまりに、子供や年寄りを足下へ押しのけてよじ登ったり、

周りの人の顔を掻きむしってもがき苦しんだり、壁に顔を押しつけられて呼吸できなくなったり…

吐瀉物と排泄物ですごい臭いが充満していたそうです。

最後に、亡くなった方々にはご冥福をお祈り致します。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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