中編3
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無題

僕の小学校は、かなり古く来年取り壊されることも決まっている。でもそんな事はどうでも良い。

毎日毎日、クラスメートに陰口を叩かれ、机の中にだんごむしを入れられ、蹴られ、脱がされ虐められているこんな学校なんて、どうだって良い。悪い思い出しかない。

ある日の放課後、僕は倉庫に入れられ外から鍵をかけられた後、そのまま放置された。

随分時間が経ち、そのまま座り込んでいると突然鍵が空いた。

目の前には、首がないスーツを着た男性が立っていた。

その人は無言のまま僕に手招きをする。

これは化け物。だったら自分を殺すか良く分からない世界に連れていってくれるかもしれない。現実世界に疲れた僕はそのままついていった。

人気のない廊下を電気をつけながら歩くと男子トイレについた。そのまま薄汚れた鏡の前に立つ。そして僕らはその鏡の中に吸い込まれていった。

目が覚めると目の前に何故か台所があった。後ろを振り返ると6畳くらいの狭いリビング。中央で25歳くらいの人が何か食べてる。人間の手だった。

皿の上に置かれた、手首からスパッと切れた綺麗な手。

初めはフォークとナイフで食べようとするが、なかなか切れず困っている。仕方なくそのまましゃぶる様に歯を指先にたてるが、どうやら美味しくないらしい。微妙そうな顔をする。

ふと、その男性が顔を上げた

「私は料理が苦手だ。食材ならここにある。調理してくれないか?」

バサッと白い袋を渡された。中を見るとバラバラになった人間の死体と黄色いランドセルがあった。

この死体…僕を虐めてた子の一人だ。

嬉しくなって、適当に身体の1部分を手に取ると調理を開始した。その台所に立つと不思議と料理ができた。ソースの作り方、煮込む時間やタイミング…次々頭に浮かぶ。

色々悩んだ結果、醤油ベースの煮付けのようなものが出来た。

男性のテーブルに置いて食べさせると、とても美味しいと言ってくれた。幸せ。

そのままお辞儀され僕は玄関を出た。開けると男子トイレの鏡前。

家に帰ると両親に心配したと泣かれた。

翌日、学校に行くと虐めっ子は普通に席に座っていた。ただいつもみたいに僕を虐めてこない。

僕は夜中家を抜け出して学校に潜入し、またトイレに行った。鏡の前に立つと再びあの家につく。

笑顔で歓迎してくれる男性。僕はこの袋に入っている食材について尋ねた。

悪いことをしたからこの子は地獄におちたらしい。これもその一種で解体された間も皮膚にフォークを突き刺し食べられてる間も、炒めたり煮たり料理されている間も、すべて感覚があるとか。

学校にまだこの子がいるというと、あれはダミーらしい。虐めっ子そっくりに化けた悪魔とか。

「へぇ」

一通り聞くと、再び調理を開始した。今日はシチュー。

次の日は春巻き。

次の日は唐揚げ。

次の日は焼き肉。

舌が特に美味しかったらしい。ぶつぶつした舌触りで噛んでも噛んでも固い。それが凄く好みだから調理方も余り煮ない様に頼まれた。

最近は、お礼にお兄さんに耳掻きをして貰っている。竹製の耳掻き。

『カリッ…コリコリ…ゴソッ』

いつも僕の耳穴からは、耳掻きに絡まるように長いナメクジがにゅるりと出てくる。平均6匹くらい。それが堪らなくゾクゾクする…

幸せな時間。

ある日、作文用紙に最近起こったことを書くように言われてこれを提出したら、お母さん逹を呼ばれた。

その後、それは夢だと何回も泣きながら言われた。精神病院という場所にも連れていかれそうになったけど、段々僕も夢だったと思えてきて、両親はほっとした表情を見せた。

ただ…

最近、耳の聞こえがやけに良い。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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