中編5
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私の母方のいとこの家では、度々心霊現象が起きていたらしく、よくお祓いを受けては御札を貰ってきていたのを幼いがらに覚えている。

特に、そこの叔母には霊能力といったようなものがあるとかないとかで、

遊びに行ってはよく怖い話を聞かせて貰い、その話にいつも怖がらさせられていた。

そして私が高校に進学し、偶々私の通う高校がいとこの家に近かったことから、三年間その家に住まわせて貰うことになった。

当初は戸惑ったものの、いとこの叔父と叔母は私を優しく迎え入れてくれ、私もすぐにそこでの生活に慣れ、その家がもう一つの我が家のような存在になっていった。

そして私はそこでの生活に完全に慣れきり高校生活も安定してきた、高校二年の夏のある夜。

叔父と叔母の職場はどちらも家から離れた所にあり、夜の11時頃にしか帰らなかったので、私が家に付く頃(7時頃)はいつも私一人だった。

だからリビングのテレビを付けて淋しさを紛らわせつつ、学校の課題に取り組んでいた。

そして今日も同じようにだらだらと課題に取り組んでいた時だった。

ガタタ…ガタ…ガタン…ガタタタタ

という、妙な物音が二階から聞こえてきた。

比較的大きめ音だったので私はビクつき、冷や汗を少しばかりかいていた。

するとその音はすぐに収まり、私は確認する為階段を上った。

しかし二階についたものの、原因はさっぱり解らない。

「何だったんだ?」と、渋々階段を降りようとした時、

エー!エー!エー!エー!…

と、何か壊れたおもちゃのような甲高い音がなり始めた。その音はすぐには止まず、少し籠もったその音はひっきりなしに鳴っていた。昔のおもちゃか何かかな?と思い、音源を探しに二階の各部屋を開けて回った。

すると物置として使われている部屋の扉に近付いた時、エ-!エー!エー!という音が先程より鮮明に聞こえてきた。

ここだ。と思い部屋の中に入った途端、先程迄鳴り続けていた音はピタリと止まり、久々の静寂が訪れた。

気味悪いな…とも思ったが、未だ頭の中に余韻を残したあの音の正体が知りたいという欲求が強く、私は探索を続けていった。

物置には電気がついておらず、漸く暗闇に目が慣れた時に気付いた。

物置には何も置いておらず、空の部屋だった。叔父と叔母はこの部屋を物置としかいっておらず、常時施錠をしていたので、このような状態である事が不思議に思えてならなかった。

そして目が漸く慣れてきた時、部屋の奥に薄汚れている大きめの襖があった。

この中かな…と、私はその襖に近付き取っ手を引く。

開かない。

普通の時であれば諦めるだろうが、私はこの時だけは何故かムキになり、力を加え続けた。

するとベリッベリベリッ!!ベリベリベリ!!!

とガムテープが剥いだ時のような音がしたが、襖は半分程開いた。

私は「開いた!」とつい笑みを浮かべていた。

その瞬間、

エェェーー!!エェェーー!!エェェー!!!

という甲高い音が襖の中から大音量で聞こえ、私は思わず「うわぁあああ!」と叫びその場で腰を抜かしてその場にへたり込んでしまった。

また、その音は音ではなく声であることに気付いた私は、とてつもない危機感を感じ早く逃げようと上がらない腰を精一杯動かそうとしたが、持ち上がらない。

未だに鳴り響く声は段々と大きくなっている気がしてならず半泣き状態であった。

これはヤバい!…殺されるっ!と思い襖をふっと見直した。

するとそこには半分開いた襖から、髪が長く真っ白で大口を開けた女の顔が横向きに出ていて、

エェェ-!!エェェ-!!エェェ-!!

と叫び続けていた。

私は思わず「うわぁああああ!!!」と、今迄出した事のないような声で叫んでしまった。

女は尚も叫び続け、眼球も口も真っ黒でなのに、眼は私を凝視していたように見えた。

そこで私は意識を無くした。

気が付いた時、辺りは明るくなっていて、リビングの真ん中に寝ていたようだった。

傍らには叔父と叔母が座っていて、私が起きた事に気付いたとたん、叔母がわっと泣き出した。

「良かった。…本当に良かった。」とつぶやいきながら。

私は何が何やら解らず、ドギマギしていた。

すると叔父は徐に「○○(私の名前)。昨日は大変だったな。」と私をさすってくれた。私もその言葉に安心させられ、泣いてしまっていた。

そして、私と叔母が落ち着いた時、あの物置の事情を話してくれた。

実は、叔父叔母がここに住む前、この家で自殺があったそうである夫婦の妻が、二階の一室であるあの部屋の押し入れで首を包丁で切り裂いて自殺したらしい。

原因は夫の虐待で、身ごもった子を流産されられた事が引き金だったようだ。

その後残った家は売られ、叔父叔母は格安のこの家に飛びついてしまった。

叔母が霊の存在に気付いた時、すぐさま知り合いの霊能者にお祓いをして貰ったのだが、怨念が強いようでなかなか祓えず、御札を月に一度貼り付けるようにしていたらしい。(あのガムテープが剥がれるような音は御札だったらしい…)

当然二人ともその霊体験はあったらしく、私の体験を悟っていたらしい。

リビングに寝ていたのは、叔父や叔母が運んだのではなく、元々そこに寝ていて夢(?)を見させられるらしい。

鍵は昼間の、御札を貼るとき以外しか開けないそうだ。(今思えば、施錠されていた部屋に入れた事を疑問に思わなかったのが不思議である…。)

試しに二階に上がってあの部屋のドアを開けようとしたが鍵が掛かっていた。

そして、実体験と自殺の事を聞いて、次の日から私は二階にいけず、一階で寝るようになった。

そして、残りの一年を普通に過ごし、私はなんなく高校を卒業。大学に進学して、近くアパートに住むようになった。それでも偶に、叔父叔母の家に顔をだす。

でも、これは余談だが、今でも叔父や叔母に聞けない疑問がある。

それは、あの夜聞いた

エェェ-!エェェ-!エェェ!

と言う声。

あの声が

死ねぇー!死ねぇー!死ねぇー!

と言っていた気がしてならない事だ…。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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気味悪っ。
オジオバはまだそこに住んでいるのかな…。