短編2
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包丁男

今年の3月頃の話です。 私が住むマンションは1Kという事もあって単身者(特にお年寄り・障害者)の方が多く住んでいます。

ある日の深夜2時頃、ベッドに寝そべって本を読んでいました。

すると、

「ドン!ドン!ドン!ガンガン!!」 ともの凄い音と衝撃が玄関から聞こえました。

明らかにドアを蹴られてるような音。一瞬苦情かと思ったけれど、本を読み始めて2時間。TVも音楽もつけてません。恐る恐るドアの覗き窓から見ると50代位の小柄な男が部屋のドアを鬼の形相で蹴っていました。

見覚えは全くない。

それに住人とのトラブルも今までありません。話を聞こうとチェーン(ステック状の)を掛けたままドアを開けるとその隙間から包丁が乱舞!

ドアノブの引っ張り合いになったけど、私より力は弱く、ドアは何とか閉まり慌ててロックしました。

その間、包丁は突っ込んできましたが、こちらの顔は相手は見てません。

「一体何なんですか!?」

私が問掛けると、蹴るのを止め、考え込むような時間の後、エレベーターで立ち去りました。

包丁沙汰は驚いたが、何かしらの喧嘩・苦情を言う部屋を間違えたのかと納得し、その日は寝ました。

そしてその二日後の深夜三時半にまたあの包丁男がやって来ました。

寝ていた私は恐怖よりも怒りが強くダッシュで玄関まで行くと、

「オマエ何時や思とんねん!人違いですまされんぞ、コラ!!」

と怒鳴り返しました。

すると意味不明な言葉を発し向こうもいきり立ってきました。

怒り限界の私は棚を作るのに置いていた角材を片手に殴ってやろうか、我慢して警察に通報するかしばし悩みました。

そしてやはり通報を選んだ私は人相を良くもう一度見ておこうと覗き窓から相手の顔を確認しました。いつも蹴っている状態なのでドアから少し離れて俯き加減だったので、この時がちゃんと正面から見た最初でした。

男は覗き窓に顔をピッタリくっつけてました。

そしてその目は白目だったのです。

イカレテル・・・携帯を片手に警察に通報し5、6人位の警察に来て貰いました。もちろん男はもういません。

ただ、その時期まだ寒く上着も着ないで包丁もそのまま持って来ていたので、このマンションの住人には間違いありません。ただ8階建ての大きなマンションなので出入りも激しく犯人を特定は出来ませんでした。

しかし犯人も警察が来た物々しい雰囲気を感じたのかもう二度と来る事は無くなりました。

しかし一週間前にまたあの音が・・・。

ドアを開けて確認はしてませんが、どうやら階下の住人の部屋に現れたようです。

私はいつかこの男が本当の殺人をして終わるのではないかと不安に思っています。

怖い話投稿:ホラーテラー CARRYさん  

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