短編2
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M美ちゃん

今年の9月の出来事。

私は明日に6歳の誕生日を迎える長男のプレゼントを買いに、4歳の娘と一緒にデパートのオモチャ売り場に来ていました。

前から息子のS太が欲しがっていた物を探していたのですが売り切れていたみたいで、ここからそう遠くない他のオモチャ屋さんへ行く事にしました。

娘のM美が退屈そうにしていたので、途中にある公園に寄る事にしました。

よく子供達を連れて遊びに来る公園なので、M美は一目散に一番のお気に入りのぶらんこへと駆けて行きました。

旦那とS太は朝から私の実家に行っていました。

私は朝起きた時から寂しそうな顔をしていたS太の事が気になっていました。

“まあ、父に任せておけば大丈夫”

S太は大のおじいちゃんっ子でしたので、今頃おうまさんごっこでもしてはしゃいでいるだろうと思い、公園のベンチに腰掛け夕食のメニューの事などを考えていました。

ふと、ぶらんこで遊んでいるM美の方を見ると、正面に向かってニコニコと手を振っている事に気付きました。

公園の前の道に目をやると、近所の奥さんが娘のH恵ちゃんと足速に通りすぎるのが目に入りました。

H恵ちゃんとM美は同じ歳で、同じ保育園に通っていると言う事もあって、とても仲良しでした。

H恵ちゃんもM美に気が付いたようで、軽く手を振り返しその場を去って行きました。

「さあ、行こうか!」

まだ遊び足りなそうな

M美に声をかけ、私達は公園を後にしました。

「本当に本当!さっき公園でM美ちゃん見たもん!!」

「H恵!何を言ってるの。今日はM美ちゃんとM美ちゃんのママのお葬式でしょ!ちゃんとお別れのごあいさつをしなさい!」

H恵は2日前に交通事故で亡くなったM美とM美のお母さんの遺影を見つめ

「また遊ぼうね。」

と呟いた。

作っちゃいました

怖い話投稿:ホラーテラー セルさん  

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