中編3
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死を感じる娘

僕が実際経験した話です。幽霊とかそういった感じのものは信じていませんが、ちょっと偶然なことがあったのでお話します。

僕は今28歳で3年前に結婚して、2歳の子供(以後花梨と呼びます)がいます。花梨が1歳になった時ぐらいの話です。妻と花梨と夜寝ている時に突然、花梨が大きい声で笑い出しました。その声で僕と妻は目が覚めました。

初めはキャッキャッと言ってましたが壁の上の隅の方を見て、「ばあ…ばば」と言っていた。その後急に大泣きし始めました。妻があやしても泣き止まず、1時間近く泣いてました。その後泣き疲れて寝ました。妻と僕も疲れ果て寝ました。次の日の朝早くに僕の父から連絡がありました。「昨日の夜、母さんが亡くなった」僕はそれを聞いて花梨は昨日おばあちゃんにあったのかなと思いました。花梨には見えていたんだと思いました。妻は少し怖がっていましたが、僕は恐怖心はありませんでした。

そしてこれだけなら偶然かも知れませんが、ちょうど半年後ぐらいに、夜いきなり笑い出し天井に向かって「たーた、たーた」と言いました。僕と妻はその時顔を見合わせ、「たつや!!」と言いました。僕には7つ下の弟がいます。たつやという名前でいつも花梨にたーたと呼ばれていました。僕は半年前の祖母のこともあり嫌な予感がしました。すぐに弟に電話をしましたが出ません。すると花梨が大泣きを始めました。僕はたつやが何もないようにと泣きながら必死に祈りました。妻は恐くなり泣き出しました。

1時間後に父から連絡が入りました。「たつやが交通事故にあって意識不明の重体だ。今すぐ△○病院まで来い」うしろで母の泣き声が聞こえてました。妻は電話の内容を理解したのか「たっちゃんが…」と涙声で言いました。「△○病院に行って来る」「あたしも行くよ」泣きながら妻が言いました。大泣きの花梨と妻、僕まで泣き出したら駄目だと思い必死に涙声で「大丈夫。たつやはきっと無事だよ」と言いました。僕達が病院に到着し案内された部屋の扉を開けた時、母が泣きながらベッドの上に寝ているたつやの体にしがみついていました。僕もその場に座り込み泣き崩れました。

事故から1ヶ月前。

両親の家に妻と花梨と行きました。

仕事のストレスも溜まっていたのと、妻との喧嘩で朝からイライラしてました。

夕飯の時に父と言い合いになり、たつやが止めに入りました。

「兄ちゃん!イライラしてるからってお父さんにあたるなよ!」その言葉にカチンと来た僕はたつやに「てめぇーは黙ってろ!えらそーに!」たつやは何も言い返しませんでした。

「いつまでも実家に住んでんじゃねーよ!自立出来ねーのか!」たつやは悲しい顔をして家を出て行きました。

僕はこの時のことを思うと自分の哀れさに言葉も出ません。

たつやは僕より色々な才能があったのに高校に行かないで父の仕事場を手伝い、体の弱い母の為に家事をずっと頑張ってきたのに。

両親に反抗し、好き勝手生きて来たのは僕なのに。

大好きだった弟に言った最後の言葉があれだったなんて。

僕は花梨がたーたと言った時、本当に何もないようにと必死で祈りました。

しかしたつやは帰らぬ人となりました。

僕らは精神的に病み、1ヶ月会社を休みました。

たつやのことは本当に後悔してます。

もしたつやにもう一度会えるなら、泣きながら謝りたい。

兄として僕は最低の人間でした。

花梨はあれからあのような大泣きはしてません。

身内もあれからはまだ誰も亡くなっていません。

花梨が泣いたのは見えたからなのでしょうか?

僕と弟の個人的な話になってしまいごめんなさい。

怖い話でなくてすいません。

ただ今の話はすべて僕の実話です。

みなさんもいつ、周りの大切な人と死別するかわかりません。

だからいつ死んでも後悔しないように歩んで下さい。

最後まで呼んで下さった方

ありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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